◯営業中/夜野魁利 ページ24
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大人しめの赤い扉を開ける。
店内はクーラーからの冷たい空気で満たされていて、小さく身震いした。
エアコンがついているということは人はいるんだろうが、姿は確認出来ない。
いつも店は客で満たされているのに、今日は店員含め誰もいない。
もしかして、まだ準備中なんだろうか。
心配になって扉まで戻ってみるも、しっかりと掲げられている"営業中"の文字。
とりあえず中に入って人を探そう。
決意して奥へと歩みを進める。
やはり、どこにも客はいない。
「……あー、A発見」
寝ぼけた声に振り向けば、キッチンの方で寝ていたらしい魁利が見えた。
客がいないとはいえ営業中に寝るところが魁利らしいけれど、そんな彼を叱る透真さんと初美花ちゃんが店にいないのは珍しい。
「あれ、エアコンつけっぱにしてたっけ…さっむ」
異常に涼しい店内も、魁利が望んだものではないらしい。
だるそうに立ち上がりエアコンを消すと、彼は私にもたれかかる様に体重をかけてきた。
「ちょっ、おもいおもい」
細身な体型ではあれど、魁利は男だ。
体重をかけられたら重いに決まっている。
私の悲鳴が聞こえているのかいないのか、彼は無視して私の首に腕を絡ませた。
「初美花ちゃん達は?いないの?」
店員も客もいない状況を説明しようとしない魁利を見かねて、私は尋ねた。
さっきよりかけられる体重が減ったから、上体を起こす。
「通りでバーゲンやってるとかで、客も二人もそっち行った。俺も行きたかったのに」
拗ねた様にぶつぶつ呟いているのが可愛くて、思わず笑ってしまった。
「どうせお客さんいないし、俺も留守番サボってAとバーゲン行こっかな」
そう言った途端、彼は私の頬に軽くキスを落とした。
「ふっ、真っ赤じゃん。ウブすぎ」
魁利のせいで肯定も否定も出来ないまま、私の腰に腕が回される。
「……久々のデートなんだし、たまにはいいじゃん」
黙ったままの私に小さく囁いて、魁利は微笑んだ。
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リクエストありがとうございました〜!!
遅くなってしまって本当にごめんなさい…
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桜もち。@椿くん推し(プロフ) - 今更ながらコメント失礼致します✨✨ちょこちょこ読ませて頂いていたのですが、このシリーズ、マニアックなキャラもいてとても嬉しいです………!!影山瞬くんの夢少ないので本当に救われました…………💖これからも応援しております! (5月12日 19時) (レス) id: 849756f787 (このIDを非表示/違反報告)
まめ(プロフ) - めぐみさん» そう言って頂けて何よりです!!こちらこそリクエストありがとうございました^^ (2021年5月7日 21時) (レス) id: 5788508e88 (このIDを非表示/違反報告)
めぐみ(プロフ) - ありがとうございました、楽しかったです! (2021年5月6日 10時) (レス) id: 5c66241426 (このIDを非表示/違反報告)
まめ(プロフ) - めぐみさん» 返信遅くなってごめんなさい>< リクエスト了解しました! (2021年5月2日 19時) (レス) id: 5788508e88 (このIDを非表示/違反報告)
めぐみ(プロフ) - コメント失礼します、同じリクエストが被ってしまいすが、グラファイトと滅に取り合いされるお話を読んでみたいです!無理なら大丈夫です… (2021年3月18日 22時) (レス) id: 5c66241426 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まめ | 作成日時:2020年3月6日 15時