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学校に着くと、机の上に担任の字体で職員室に来るようにと書かれたメモがあった。


きっとコンクールの結果が返ってきたんだろう。


僕は階段を一段飛ばしで降りて一階の職員室まで少し急いだ。


佳作ぐらいはとってみたい。


職員室のドアをコンコンと二回叩いた。


「失礼します。二年三組の東条です。木村先生いますか?」



「あ!東条君、早いじゃない。おはよう。
私がなんで職員室に呼んだかわかる?」


そういうのはいらないからさっさと結果を言って欲しい。


「小説コンクールの結果ですよね?」


「ご名答!そう、あなたの小説ね、なんと」


「と」の口で一旦止まる木村に苛立つがおさえる。


「なんと、最優秀賞!!」


木村がそういうと、職員室中から拍手の音が鳴った。


「さすが、平成文豪の息子だな!」


はあ。


「あの、平塚博生の息子だもんなー!
まあ才能が違うわな」


またか。


「先生も鼻が高いわ!東条君!」


こいつら。


僕の作品を読んだこともないくせに、何がさすがだよ僕が賞を取ることを当たり前みたいに


コネでとってるみたいに、そもそもこのコンクールは学校名だけで名前はペンネームだ平塚博生の息子だなんて分かるわけがないのに


というか、文豪としては父親のことは尊敬しているが父親としては色んなところが欠落している人間だった親父なんて大嫌いだ。


母さんと僕を残して他の女に横恋慕する奴なんて。


最優秀賞を獲ったのに、あまり気分は上がらなかった。


それに最優秀賞を獲ったのは、一番自信のなかった青春がお題の作品だった。


「あ、そうそう最優秀賞の作品は文庫化されるから10月には書店に置かれるそうよ!それで編集者さんが是非あなたと会ってみたいって言ってたから
この紙の番号に連絡てみたら良いわよ。」


「ああ、ありがとうございます。」


僕は、ニヘラァと不器用な笑顔を見せて職員室を出た。


あの担任が僕は感情が表に出ないからやりにくいと若い体育教師に相談して
体育教師が僕のところに注意しに来たのはまた別のお話。


「最優秀賞、か。」


僕は小さくガッツポーズをした。


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◎→←第1話 最優秀賞 一ページ目



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作者名: | 作成日時:2019年8月30日 22時

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