35 夕暮れ 安室side ページ37
「爆弾の1つは解体した...ああ...もう1つは見つかっていない。不発のようだが探してみる。...何?警視庁が?...了解。わかり次第連絡してくれ。...切るぞ。」
風見に連絡を入れた。
もう1つの爆弾はどうやら警視庁の方で解体に当たっていたらしい。誰が解体したかは分からないから、それの連絡を頼むと、非番なんですから休んでください。と小言を言われた。
っと、Aさんを迎えに行かなければ。
急にいなくなって、現れたかと思えば手を引いて園外に追い出すって、自分、中々最低な野郎ではないか?
申し訳なさが込み上げてくる。
彼女と過ごしていても今回みたいに危険が迫れば、俺は迷わずそちらを優先する。
でも、彼女には本業を明かす訳には行かないし、ましてや相手は遊びたい盛りの高校生。
それに...
ーーーあなたと親しくなければなるほど、あの子に危険が迫るってことなのよ?ーーー
つい先日、ベルモットに言われたことを思い出す。
身を引くなら、早い方がいい。のめり込む前に。
今迎えに行って、いなくなった理由を誤魔化したとしても、彼女はきっと笑って許してくれる。
そんな彼女にずっと甘えていてもいいのだろうか?
...考えれば考えるほどわからないな。
彼女の手を引いたさっきと同じ道をのろのろと歩いていると、向こうからAさんが走ってやってくるのが見えた。
沈みかけた太陽をバックに、桜色のワンピースがひらり、彼女が動くのに合わせて揺れている。
俺の目の前で立ち止まり、笑った彼女は風景と合わさって幻想的だった。
「透さん、観覧車に乗りたいです。」
観覧車に向かっている間、Aさんに探偵をやっていることを告げ、その依頼人のごだごだに付き合わされた、と嘘の説明をした。
何度も謝ると、怒ってないから大丈夫ですよ、と笑顔で返される。
この子の性分は、優しいなんて一言では済ましては行けない気がする。
会って突然、観覧車に乗りたい、と言ったのも、きっと、俺があまり気を使わないように、と考えてくれたのだろう。
「わ、結構ならんでますね。」
「どうします?やめておきますか?」
「透さん、敬語。」
「あっ...ごめん。」
そう言えば敬語をやめるのを約束したんだった。
じっと睨まれてしまう。うーん、かわいい。
「許してあげます。待ってもいいから乗りたいです。...嫌ですか?」
「大丈夫だよ。並ぼうか。」
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零(プロフ) - ギャグじゃない、ぴえんって、ギャグ大好き過ぎて草ギャグ大好きな人、好きです← (2020年5月8日 4時) (レス) id: 65b70f381b (このIDを非表示/違反報告)
Lily(プロフ) - アオさん» お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。ご心配ありがとうございます。作者、生きてます。更新したのでよかったらまた読んでやってくださいませ。 (2019年8月8日 22時) (レス) id: 0b29ddadeb (このIDを非表示/違反報告)
Lily(プロフ) - のんのんさん» お返事が遅くなって申し訳ありません。応援ありがとうございます!中々亀さん更新になってしまうのですが...頑張ります!! (2019年8月8日 22時) (レス) id: 0b29ddadeb (このIDを非表示/違反報告)
アオ - はじめまして。この作品暫く更新されていませんが、大丈夫ですか? (2018年5月5日 20時) (レス) id: e874f23264 (このIDを非表示/違反報告)
のんのん - すごくいい話ですね! 応援してます! 更新頑張ってください!! (2017年5月7日 17時) (レス) id: 925f4d298b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リリィ x他1人 | 作成日時:2016年5月5日 17時