36 観覧車 貴女side ページ38
気まずくなるのが嫌で、とっさに観覧車に乗りたいと言ってしまった。良く考えれば密室で2人きりの方が気まずいということに気づく。
透さんから探偵をやっている話を聞いた。
苦し紛れの言い訳だけど、笑って見逃す。
問い詰めたって、きっと本当の理由は帰ってこない。
今はそれでいいの。今は。
「次、私たちの番ですね」
「ええ...Aさん気をつけて...よっと」
結構人が並んでいたはずなんだけど、回転がいいのか思いの外早く私たちの番が来てしまった。
回り続けるゴンドラに先に乗って手を引いてくれた。
「ありがとうございます。」
「いえいえ。」
ゴンドラの扉が閉まり、2人の密室になる。
彼も私も景色を見て、無言が続く。
気まずいはずなのに、ずっと一緒にいたいと思ってしまう。
「あっ、」
「え?」
思わず声を出してしまった。
私が進行方向を向いていたため、頂上にさしかかり、前のゴンドラの中が見えてしまった。
そして、そのゴンドラの中のカップルが、その、
...キスをしている。
声を出してしまったせいで、透さんもそれを見てしまって。
「ハハ...見ちゃった」
余裕そうに笑ってる彼にちょっと意地悪。
「...私達もします?」
「え゛っ」
「冗談ですよ」
べっと舌を出す。
おばさんが何してんだと思うが、今はJKという設定なので許して欲しい。
「からかわないでください...」
口に手を当ててそっぽを向いてしまった。
「また敬語ですよー」
「...」
今度は肘を膝について頭を抱えてしまった。
透さんってこんなにからかいがいがある人だったっけ。
「Aさん」
「はーい?」
顔を上げて私を見る。
なにやら真剣な眼差し。
「そっちに行ってもいいですか?」
そっち、というのは向かいあわせで座っている、私が座っている方の席のこと。
「どうぞ」
少し横にずれるが、ちょっとでも体を動かせばぶつかってしまいそうな距離。
「...Aさん」
「はーい?」
「...嫌だったら、突き飛ばしてくださいね。」
「へ?」
少しずつ近づいてくる透さん。
近くで見ても肌綺麗だな、なんて考えてるうちに後戻りができない距離になっていて、思わず目を瞑ってしまった。
「...っった!!」
衝撃がやってきたのは唇ではなく、額。
キスじゃなくて、でこぴんされた。
「大人をからかっちゃだめだろ?」
透さんはさっき私がしたみたいに、べっと舌を出した。
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零(プロフ) - ギャグじゃない、ぴえんって、ギャグ大好き過ぎて草ギャグ大好きな人、好きです← (2020年5月8日 4時) (レス) id: 65b70f381b (このIDを非表示/違反報告)
Lily(プロフ) - アオさん» お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。ご心配ありがとうございます。作者、生きてます。更新したのでよかったらまた読んでやってくださいませ。 (2019年8月8日 22時) (レス) id: 0b29ddadeb (このIDを非表示/違反報告)
Lily(プロフ) - のんのんさん» お返事が遅くなって申し訳ありません。応援ありがとうございます!中々亀さん更新になってしまうのですが...頑張ります!! (2019年8月8日 22時) (レス) id: 0b29ddadeb (このIDを非表示/違反報告)
アオ - はじめまして。この作品暫く更新されていませんが、大丈夫ですか? (2018年5月5日 20時) (レス) id: e874f23264 (このIDを非表示/違反報告)
のんのん - すごくいい話ですね! 応援してます! 更新頑張ってください!! (2017年5月7日 17時) (レス) id: 925f4d298b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リリィ x他1人 | 作成日時:2016年5月5日 17時