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霞んだ三味線の音色が鳴り響く。
第一陣の舞妓との交代の時間が差し迫っている。
何だか他人事のようにも思えるが、鏡に写る自身の姿を見て、即座に現実味を帯びる。



「まさか生きていく上でこんな格好をするとは…。」



煌びやかな衣装に華やかな化粧。
輪郭しか原型を留めていない顔は見ていて吐き気がする。



「A様。交代の時間で御座います。」

「有り難う。」



呼びに来てくれた禿の子に礼を言えば、ふわりと微笑まれる。



「とても…。とてもお綺麗で御座いますよ、A様。」

「褒めても何も出ないわ。」



緊張が解れた私は彼女と共に部屋を出たのだった。











まさか父親まで着いて来ていたとは。
私が出迎えた時は娘だけしか居なかったのだが、仕事終わりという形で父親が店に合流したのだ。
私達の最大の誤算であった。



「そこの舞妓! 名は何と言う?」



べろべろに酔い散らかした娘の父親が私に問う。
にこりと微笑んでその場を去ろうとするが、がしりと肩を組まれて逃げ場が無くなる。



「つれないのぅ…んん?」



ギリギリまで背を仰け反らせ、接吻から逃れる。

このくそじじい…。

そう。
彼がいる事で、本来の酒盛りをする相手に全く酒盛りが出来ていないのだ。
あろうことか、このじじいを酔わせてる始末。
これでは本末転倒である。



「夜はまだまだこれからでありんすから、もっと飲んでおくんなんし。」



皆も頑張って娘に呑ませようと試みているようだが、如何せん娘が酒に強いのなんの。
加えて、一番酒に弱い黄百合が第一希望というものだから、気が気ではない。
何故なら娘に酒を勧めれば勧める程、黄百合の首も絞めていくのだ。



「センラ様も呑んでおくれな。私だけというのは不平等ですわ。この一夜に…一緒に酔いましょうな。」



これ以上は危険だ、と頭に警鐘が鳴り響く。
いつの間にやら勝手に膝枕の体制をさせられているが、出来るだけ自然に、それでも迅速に、他の舞妓と入れ替わる。

頼むから起きないでくれよ…。

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ちょこ2(パソコン変わりました≪元ID 5ad0b4ef6a≫)) - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみにまってます!(´;ω;`) (10月3日 23時) (レス) @page43 id: c7ac99c812 (このIDを非表示/違反報告)
はおと(プロフ) - おっもしろいな〜!!!!! (2021年9月28日 15時) (レス) @page36 id: 36f12069ba (このIDを非表示/違反報告)
Haoto(プロフ) - すごく続きが気になる終わりかただ~…。面白いので、更新、できたらで良いので書いてもらえたらすごく嬉しいです…!! (2021年8月30日 3時) (レス) id: e9d14425e3 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 応援してます!頑張ってください! (2021年8月14日 14時) (レス) id: 5ba492e76b (このIDを非表示/違反報告)
しろ時雨(プロフ) - 主人公がかっこいい!憧れます! (2021年8月10日 8時) (レス) id: b4c51071c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雫月 彗 | 作成日時:2019年12月29日 19時

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