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「気持ちよかった…」
「おや、A…少しよりたいところがあるのじゃが…」
「姐さんが??いいですよ」
ドライヤーで髪を乾かしている時に姐さんが私に言う
別に特に予定もないので快く承諾した
この決断が私を地獄に招いているなど、その時は思いもせずに
◇
「愛いのぉ、ほれ、次はこれじゃ」
「姐さん…もうそれ十三着目…」
店の浴衣を全部着る勢いで試着室に放り込まれる数々の浴衣
今なら私、ボルボックスになれる気がする
え?なんでボルボックスだって??
発音が好きなだけだよ、気にすんなって
「聞いたぞ?お主、中也に浴衣を送ったというではないか、中也に着せるだけでお主は着ないなど言語道断じゃ
中也に会う浴衣を着たくはないのかえ?」
そういわれて、なにも言い返せずに丸め込まれ見事着せ替え人形と化した
ちょろいとかいうな、自分でも一番よくわかってんだから
「おい、A」
十四着目を着終え、試着室のカーテンを開けた先には
満面の笑みをたたえた姐さんと何やら浴衣らしきものをもっている中也ちゃん
「なにさ…もう着ないぞ、もう心身ともに疲れた」
「着ねえのか?」
「……なにそれ」
「中也がせっかくお主を思って選んだ浴衣じゃぞ?」
「姐さん!!言わねェって言ったじゃねェか!!」
え…
中也ちゃんが私に選んでくれた浴衣?
「ほんと…?」
「なんで嘘つく必要があるんだよ」
そういって不愛想に差し出してきた浴衣を恐る恐る受け取り、試着室のカーテンを勢いよく閉めた
やばい
嬉しい
きっと今の私の顔は見事なほどゆるみきっており、加えて赤いだろう
だって嬉しいではないか、私の為に選んでくれたなんて
浴衣を抱きしめ、ふふっと笑う
広げてみると、それはそれは可愛らしい浴衣だった
中也ちゃんと同じような白をベースとした生地だが、かすかに白菫色がみとれる、淡い紫を主とした撫子がちりばめられていた
青藤色や淡藤色で周りがぼかされており、とても綺麗だ
「着れたか?」
「笑わないって約束して」
「笑わねェよ」
カーテンを恐る恐る開け、中也ちゃんの微笑んだ顔を見る
「…なんか言って!?」
「やっぱ俺の思った通りだな」
隣の姐さんは口元を隠してくすくすと笑う
「似合ってるぜ、A」
そりゃ反則ですよ、中也ちゃん
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奏翔 - 続きって書かれますか?更新待ってます! (2023年3月6日 23時) (レス) @page22 id: 49dd49021f (このIDを非表示/違反報告)
桜奈(プロフ) - 中也ちゃあああああぁぁぁん!?!?!?!?!?もう好き…えっ…?ホウ酸さんの中也ちゃん(夢主ちゃんのが移った)毎度毎度かっこよすぎません!?!?えっ…可愛いけども…((手前は誰と話しているのだか……もう好きです…これからも頑張ってください!!!!!! (2021年9月6日 18時) (レス) id: dc83ff49fd (このIDを非表示/違反報告)
ホウ酸(プロフ) - さうさん» グサッと行ったならめっちゃ嬉しいです!!ありがとうございます! (2020年12月13日 8時) (レス) id: d043e2c381 (このIDを非表示/違反報告)
さう(プロフ) - 最後のオチが心にこう、グサッと、グサッと来ました!!!好きです!! (2020年12月12日 20時) (レス) id: 1a87c21f54 (このIDを非表示/違反報告)
ホウ酸(プロフ) - ベネさん» ありがとうございます!!ベネさんもお気をつけて (2020年10月9日 15時) (レス) id: d043e2c381 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ホウ酸 | 作成日時:2020年5月30日 10時