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なんだろう
なんだか天国のような聖地にいた気がしたんだが
「おい起きろ、帰るぞ」
ゆさゆさと体を揺さぶられる感覚で起きた
「ん……ん…?」
「起きたかよ、寝坊助さん」
「中也ちゃん…?」
「もう帰るぞ、腹減った……
手前、そんなの付けてたか?」
寝癖でも見つけたのだろうか
だが彼がみているのは私の首だ
不思議に思い、首に触れてみると、なんだか黒い固いものに当たった
「チョーカー?」
「俺のと全く同じタイプだな、まさか買ったのかよ」
「いや、買ってないけど、同じタイプなの!?うっれっしぃ」
「寝起きのテンションそれかよ」
「いいの、ずっとこんなんなんだから」
首になじまない感覚、なんだかまだ温かい気がする
外套を羽織る中也ちゃん
飲みかけのコーヒーを飲み干そうとカップに手を伸ばした時
ひらりと何かが机の下に舞い落ちた
「ん?」
「どうした?」
何かと思い、下を見てみると、そこには季節外れの桜の花弁
「桜??」
「あ?」
「冬に桜ってさくの?」
「徹夜しすぎて頭置いてきたか、咲くわけねぇだろ」
もっともすぎるツッコミを中也ちゃんにされるが、この物がここにある時点で実物であり、存在していたという事に変わりはない
不思議なことが起きたな
なんだかこの桜は見ていて懐かしい感じがする
「ねぇ、中也ちゃん」
「んだよ」
「今日は中也ちゃんが料理してよ」
「はぁ??なんも作れねぇぞ」
「大丈夫大丈夫」
「別にいいけどよ…何作るんだよ」
少し考えて、何が食べたいか悩む
「そうだなぁ…
中也ちゃんのつくる卵焼き」
そういうと中也ちゃんはなんだか驚いたように目を見開いて
「そんなんでいいのかよ」
「そんなんじゃないよ、神聖なる食べ物だよ、中也ちゃんが作るんだったら」
「ほざけ」
満更でもなさそうに笑って、帽子をかぶる中也ちゃん
「帰るか」
「了解」
あたかも上司と部下のような会話を交わし、椅子から立ち上がる
机からまた
ひらりと桜の花弁が一枚、
音もなく舞い落ちた
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奏翔 - 続きって書かれますか?更新待ってます! (2023年3月6日 23時) (レス) @page22 id: 49dd49021f (このIDを非表示/違反報告)
桜奈(プロフ) - 中也ちゃあああああぁぁぁん!?!?!?!?!?もう好き…えっ…?ホウ酸さんの中也ちゃん(夢主ちゃんのが移った)毎度毎度かっこよすぎません!?!?えっ…可愛いけども…((手前は誰と話しているのだか……もう好きです…これからも頑張ってください!!!!!! (2021年9月6日 18時) (レス) id: dc83ff49fd (このIDを非表示/違反報告)
ホウ酸(プロフ) - さうさん» グサッと行ったならめっちゃ嬉しいです!!ありがとうございます! (2020年12月13日 8時) (レス) id: d043e2c381 (このIDを非表示/違反報告)
さう(プロフ) - 最後のオチが心にこう、グサッと、グサッと来ました!!!好きです!! (2020年12月12日 20時) (レス) id: 1a87c21f54 (このIDを非表示/違反報告)
ホウ酸(プロフ) - ベネさん» ありがとうございます!!ベネさんもお気をつけて (2020年10月9日 15時) (レス) id: d043e2c381 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ホウ酸 | 作成日時:2020年5月30日 10時