偏頭痛4 ページ12
Aside
「ん…。」
「あ、起きたの?おはよう。」
「けんさん…おはようございます。」
「頭痛はどう?」
「もう大丈夫です。ありがとうございます。」
寝ている間もずっとそばにいてくれたんだ。
嬉しさに自然と顔が緩んで行くのがわかる。
ゆっくりと体を起こしてソファーに座ると、目の前のテーブルに、プリンとみかんとチロルチョコが、等間隔に並べられているのが目に入った。
「あれ?これは…?」
「Aが寝てる間にね、伊沢と山本とこうちゃんが来たんだけどさ、頭痛で寝てるって伝えたら、お見舞いだっておいてったよ。」
「わぁ。なんだか、気を使わせてしまって申し訳ないです。」
なんだかお供物みたい(笑)
お地蔵様にでもなった気分だ。
「ふふふっ。みなさん、いつも優しいですよね。ありがたいです。」
お供物のなかから、チロルチョコを選んで口に含む。
美味しいなぁ、なんてのんきに笑っていると、
急にけんさんの顔が近づいてきて、
私のおでこにちゅっとキスをした。
「き、急にどうしたんですか??」
「んー…。」
顎に手を当てて、首を傾げるけんさん。
「なんだろ。独占欲…かな。さ、編集部屋に戻ろうか。」
そう言って微笑むと、
けんさんは、パソコンを片付け始めた。
今まで職場では、絶対にそういうこと、しなかったのに。
独占欲…
私が嬉しそうにしてたからヤキモチ焼いてくれたってコト、だよね?
「けんさん!」
「なあに?」
「あの…パーカー、もう少しお借りしててもいいですか?」
「うん。俺は寒くないから平気だけど。」
「ありがとうございます!」
枕にさせてもらっていたパーカーを広げて袖を通す。
細身だけど肩幅の広いけんさんのパーカーは私にはやっぱり大きくて、おしりまですっぽり隠れてしまうほど。
でも、
私にはそれがなんだか嬉しかった。
大好きなけんさんに包まれているみたいで、嬉しかった。
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作者名:さちもっち | 作成日時:2020年12月5日 0時