RKRN 継母の遺書は何処へ

目覚め ページ22

道を間違えることなく、奥方と子息の居る部屋の天井に来た

「中のよろしい母子な事で…」

天井から覗くと、母親である奥方は、我が子に膝枕をしている

「……」

それを見て、思うのは顔さえも覚えていない我が母の記憶

「今は任務中、邪心を取り払わなくては…」

我に帰るA

情など無用

目の前にある者を切り裂くのみ

スタッ、と静かに降り立つ

「はっ!!」

いち早く気付いたのは、奥方だった

「曲者!!誰か！」

「母上…？」

その声に、夢うつつだった子供も目を覚ます

「気付かなければ、喉を一付きで楽に死なせてやれたのに」

覆面で、Aの表情は分からない

忍び刀を構える

「若、逃げなさい！」

「母上は!?」

「いいから！」

どうやら、非常口があったようだ

「はぁ…仕事のできない奴らだ…」

非常口の調査もちゃんとしろ

「させぬ！」

子供を斬ろうとしたが、それを庇う母親

結果、斬れたのは奥方の長い髪

「母上！！」

「どうか！若だけはお助けください！まだ十歳なんです！私はどうなってもかまいません！」

その言葉が、私の頭の中に響く

なんで…

私は無情

情など無用

「アナタも人の子！どうか！この子は見逃してください！私の宝なのです！」

刀を構える手が震える

「っ！馬鹿馬鹿しい!!!なにが宝だ！
人は権力ばかり！命が宝など!!!誰も思っていない!!!
戯言もいい加減にせい！」

改めて手に力を入れる

「母が子を護るのに!!!偽りなどございません!!!」

「……」

『ママがAを守らない理由なんて無いよ』

「まただ…」

邪心を振り払うよう頭を振る

なんで今日はこんなにもやりにくい!!!

「一つ言おう、母と父を失った子は何ができる、何が残る
何も無いのならば、親と共に葬ってやる方がいいに決まっている!!!」

「この子は！私の子は必ず立派になる!!!
最初は苦労するかもしれない!!!けれど、必ず大切なものを手に入れ！立派な人となる！

なぜなら」

その時、私が強く求め、求められなかった母の数少ない記憶がよみがえった

「私の自慢の息子だから！」


あぁ…

私は完璧なんかじゃない

とんだ勘違いヤローだ

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