【d!】断じて浮気はしていない！【ut】[完結] (ページ14)

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【番外編バレンタイン】ページ14

｢はよざいまーす｣

いつも通り会社に出勤すると、途端に押し寄せる女の子の波。
なになになに！？

｢鬱さん、作ったので貰ってください！｣
｢鬱さんあげます！｣
｢私のも貰ってください！｣

そういや今日バレンタインか。
普通に平日やったから忘れてたわ。

次々と話し出す女の子たちを適当にあしらいながら自分のデスクに座る。
本命の彼女が出来た今、不安にさせない為にも他の女の子からのチョコを受け取るわけにはいかない。

Aちゃんと付き合って初めてのバレンタイン。
一体Aちゃんは何をくれるんやろ。
楽しみすぎてニヤけそう。

なんとかニヤケを抑えながら仕事に集中した。

時間は経ち、定時が近づいてきた。
仕事を終わらせ会社を出る。

バレンタインということもあり、オフィスの中はチョコの匂いでいっぱいで気持ち悪かったが
Aから貰えるかもしれないと思うとそんなのも気にならない。

家の前に着くと、部屋の明かりが付いているのが分かる。
てか、連絡なしに家来んの珍しいな。
多少の期待をしながら家に入った。

｢ただいま〜｣

『あ、おかえり！』

エプロン姿で出迎えてくれるAちゃん。
これは期待が高まるな。

｢連絡なしに来んの珍しいな｣

『え？あぁ、ちょっとね、』

あからさまに様子がおかしくなるAちゃん。

『てか、お腹空いたでしょ？ご飯作ったから食べよ』

テーブルの上にはAちゃんお手製の料理がいくつか並んでいて、どれも美味しそうだった。

｢めっちゃ美味そうやん｣

ご飯はもちろん美味かった。
どうやらAちゃんは泊まるらしく、今は風呂に入ってる。
バレンタインやから家に来たんか？てか、バレンタインなのにチョコ貰ってへんよ？
会社の女の子は全部断ったのにな

テレビを見ながら考えていると、いつの間にか風呂から上がったAちゃんが僕の隣に座っていた。

｢おぉ！いつの間にあがったん｣

『今日、チョコ貰ったの？』

平然とした顔をして聞いてきたが、その声はどこか不安そうで。

｢貰ってへんで、一個も｣

『ほんとに？』

｢マジで貰ってへんよ！｣

そう答えると、テレビの方を向いたまま箱のような物を差し出してきた。

｢なにこれ？｣

『察しろ、バーカ』

少し耳が赤くなっているのが分かる。
中にはフォンダンショコラが入っていた。
一口食べると中はとても濃厚でめっちゃ美味かった。

｢めっちゃ美味い。ありがと｣

お礼にしたキスはフォンダンショコラよりも甘かった