【安室透】黒い世界に舞う天使2【黒の組織】

カレーとコーヒー ページ34

夜も明けて、私はペンも手に握原稿用紙とにらめっこしていた。


どのホテルも空いておらず、このまま出歩くのは危険だと思い、結局駅前のネットカフェで一夜を過ごした。


今日が平日だということもあり、日の出ている内に行動するのは見つかる可能性が高いと踏んで、昼の間は本職の小説の仕事をすることにしたのだ。


最近の小説家はパソコンのソフトで執筆する人が多いが、私は紙と手書きの温もりが好きだったため、今でも原稿用紙を使って小説を書いている。


あれこれと推考している内に、半日近くたってしまった。


それでも、書けたのはいつもの三分の一の量。


今の状況やいつもと違う環境で、あまり集中できないということもあるが、そろそろスランプかな？とは前々から感じていた。


なんだか、ポアロのコーヒーが飲みたくなってきた。


何か悩み事とか、落ち込んでいるときは、ポアロのコーヒーが無性に飲みたくなる。


最近行ってないなぁ、ポアロ。


私がはぁ、とため息をつくと、お腹も一緒に、ぎゅるるるるる、と悲鳴を上げた。


そういえば、お昼何も食べていない。


もうすっかり日が沈んで、外は真っ暗だった。


時計を見れば７時。


大丈夫、まだ間に合う。


ここからそう遠くもないし、何よりお腹が「腹減った！」と訴えてくるのだ。


私はポアロへ向かうため、荷物を持って、ネットカフェを後にした。

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