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伊賀崎「A……」
Aが放ち続ける殺気に、伊賀崎は恐れを見せた。
A「っ!………はぁ…はぁ…はぁ…」
Aは目が疲れたのか、右手で目を覆い隠した。
A「もう…いやだ、誰かが傷つくのは嫌なんだっ!」
Aから溢れ出す殺気は、静かに薄れて行った。
もう、子供のAに戦う体力は残っていなかったのだ。
それをチャンスと思ったのか。
血濡れの男は木に寄りかかり、ニヤリと笑った。
男「よく周りを見てみろ…何故、こんなことになってしまったのか…考えてみろ…」
A「えっ…」
Aはその場をぐるりと見回した。
目に映るのは、倒れた先輩や木のそばで怯え続ける後輩。
そして、愛おしい同級生だ。
Aの体が急に震え出した。
A「皆が怪我を…怯えを……感じている……理由は…」
男「お前だってわかっているだろう……その目だ…その目がある限りっ!お前は狙われ続けることになるっ!」
男はAを指差しながら、高らかに笑った。
男「この戦いでお前の仲間は怪我をしたっ!全てその目を持つお前が悪いんだっ!」
摂津「違うっ!」
男「違わないだろうがよぉ!あんな暗記力がなければ、忍術学園との戦いは生まれなかったっ!」
A「!?…僕…が…いたから……」
Aは膝をついた。
目に光が宿っておらず、ただただ涙が流れている。
A「良かれと思って練習した速読は、ただ負の連鎖を起こしただけだった……僕の前には長次先輩、雷蔵先輩、鉢屋先輩、立花先輩が倒れている。僕のせいで…」
男「そうだっ!」
A「暗記力は、この目がある限り永遠に続くのか…」
Aは右まぶたを撫でた。
A「なら僕は…」
Aは地面に落ちていた苦無を手に取り、両手で自身へと刃を向けた。
A「この目を捨てるっ!」
伊賀崎「!?やめろぉぉおお!」
伊賀崎の制止を無視し、Aは右目へと苦無を刺した。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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作者名:屋 | 作成日時:2018年1月25日 12時