【男主】人生記【eoh.eoh】

99枚目 ページ6

いきなり俺をお父さんと呼び始めたAに便乗してか、あろままで呼び始めた。

「パパー」
「父上」
「お父さん」
「父ちゃん」
「お父様」
「親父」
「おとん」

父親の呼び方を言い合ってはバカ笑いしている二人を放っておく。
何が面白いのかわからない。

「えおえおパパー」
「うるせぇ」

体を丸くしてまで笑う二人。
廊下まで聞こえているのではないだろうか。


「でもまあ、Aからすればそうだよな」
「何が？」
「えおえおは父親って、何となくわかるわ」
「じゃああろまさんお母さんね」
「何でだよ、お前いるだろ」

酒は入っていないはずなのに酔っぱらいのような会話。
いつだって賑やかだよなぁ。

「明日はどこに行こうか」

パンフレットをペラペラめくりながらあろまは呟いた。
布団の上に寝転がって足をバタバタさせている。

「あ、お前帰れば？」
「俺？」
「実家、A連れて帰れよ」
「何でだよ」
「隠し子ですって報告しに」

絶対しない。

「あろまの家の方が心地いいんだもん」
「絶対来んな」

北海道の名所のひとつあろまほっとの家。
明日の目的地はそこだな、と密かに思った。

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