【男主】人生記【eoh.eoh】

116枚目 ページ23

学校を辞めたり、病院に行ったり。
やることは色々ある。
しかし、何よりも最優先させること。

｢相変わらず大きいな……｣

母親に話すということだ。

あんな事をしても血は切れない。
血縁者である限り話さなくてはいけない。

｢俺一人で行くよ｣

俺はAの意思を尊重して門の中へ入っていくAを見守った。

違う、意思なんか尊重していない。
自分は逃げたのだった。

Aが死ぬという事実から。
あとどれくらい生きるのか、母親はどんな顔をするのか。

それが怖くて俺は今、門の前で立っている。

｢えおさん｣

ビク、と肩が揺れる。
自分の情けない姿に笑いたいのに笑えない。

｢中に入って、俺ここにいるから｣

重い足取りで門の中へ入り、いつだったか入った家の中に入る。

｢失礼、します｣
｢どうぞ｣

昨日のように息が詰まる。
このまま窒息してしまうんじゃないか、というほどに。

｢話は聞きました｣
｢はい｣
｢貴方が昨日、Aから聞いたというのも聞きました｣
｢はい｣

母親の顔が見れない。なんと言えばいいんだ。
お宅の子を死なせる結果になってしまい申し訳ありません？

そんな事で許される問題ではないのだ。

｢よろしくお願いします｣

俺は虚をつかれたように顔を上げた。

117枚目→←115枚目

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す