【男主】人生記【eoh.eoh】

94枚目 ページ1

高校生、と呼ぶ声が上から聞こえる。
あろまの声だ。

あろまの姿は少し上にある。

「……………」

彼の背中を押しながら俺はあろまを見ていた。
彼、というのはもちろん。

「A、大丈夫？」

この体力が皆無に等しい高校生のこと。

あろまや俺に山登りの技術はないが、それを差し引いても無さすぎる。

息をきらしながら、必死に一歩ずつ歩いていく彼。

その背中を支えるように俺は押している。
そのお陰もあってか彼の足は止まらないで歩き続けている。

「……休むか？」

無言で首を横に振る。
確かにここで休憩は迷惑になるかもしれないが彼のことを考えると休むべきだと思う。

「あろまー休憩」

「いらない」

何故そこまで休憩を拒むのか。
俺にはわからないが、そこまで言うなら登ってもらおう。

あろまも登った道を降りて彼の手を引いていく。

なんだこの登山。

「つ、いたっと！」

やっとのことで登り終えた道。
絶景、というものだろう。

風が気持ちいい。

「さてと」

肩にかけていたカメラを撮ってうろうろする俺たち。

を、見るはずだった高校生は息をきらしている。

「体力無さすぎにも程があるぞお前」

「あ、はは……」

半笑いを浮かべる彼。
若さで全て決めるわけではないが一回り以上違う俺らより体力がないなんてありえるのか？

仮に兄がスポーツ選手な家庭で、こんなに差が出るものなのか？

「まあいいから、写真撮っててよ」

95枚目→

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