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十二着目 ページ12

「遠征……ですか」

トントンと書類の角を揃えたところで聞いたのは中也の仕事内容だった。

「ああ……明日東北の方にな」

今の時期雪は降ってないだろうがそれでも東北は寒い。

「んで、急なんだけどよ」
「はい」
「服を用意してくれねぇか」

お偉いさんと会うのだろう。
中也は渋い顔でAに頼んでいる。

「今からですか…………」
「無理か?」
「いえ、ご用意させていただきます。午後にはお持ちします」

とは言え書類の提出も控えている。
ギリギリ間に合うかどうかという時間。

「書類はいい。首領に頼んで期限を遅らせてもらったからな」
「え……すみません、ありがとうございます」
「構わねぇよ。無理言ってんのはこっちだしな」

そうとなればAの顔はほころぶ。
中也の服を考える時は真剣な瞳の中に嬉しさが交じる。

「……そんなにジロジロ見んなよ」
「あっ、すみません。素敵だなぁと思いまして」

前の事もそうだがAは照れる様子もなく恥ずかしいことをサラリと言う。

「お前だって素敵だぞ?」
「勿体無いお言葉です」
「おいA」

深々と頭を下げる秘書に中也はいよいよ心配になった。

「俺はそんな大層な奴じゃねぇ。上司とは言えそんな尊敬されても何も出ねぇ」
「いいえ、中原様は御立派な方です。私を救ってくださったのですから。私がこうして貴方の側で息をしている事も、本来なら許されない事です」

Aの瞳の中の闇を何度か見てきた。
過去に何があったとか、そういう事を中也は聞いたことがない。

「何があったんだよ」

今日この日が最初で最後の質問になるだろう。

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ハル - 面白かったです!とても感動しました!主人公が選んだ服や帽子を今も着ていると思うとグッとくるものがあります!大切なものを大切にしておこうと思いました!とてもよい話をありがとうございました!! (2017年1月27日 21時) (レス) id: d2f978314e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 加奈さん» ありがとうございます!!距離感は大切に書いていますのでそういう点に着目して頂けたのは嬉しいです! (2017年1月18日 7時) (レス) id: 2f9be25c6d (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - もうなんか男主くんと中也の距離感が素敵過ぎて悶えますこの小説大好きです作者様ありがとうございます…… (2017年1月16日 21時) (レス) id: 191a0f55fe (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 天さんさん» ありがとうございます! (2017年1月12日 22時) (レス) id: 2f9be25c6d (このIDを非表示/違反報告)
天さん - めっちゃ面白いです!!中也はやはりイケメンですね(吐血)更新頑張ってください! (2017年1月12日 19時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年1月4日 0時

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