検索窓
今日:4 hit、昨日:6 hit、合計:124,694 hit

十一着目 ページ11

―――やあ、元気そうだね中也、A

中也にとっては聞きたくない、Aにとっては懐かしい声。
太宰治の声だ。

「お久しぶりです太宰さん」

隣でわなわなと震えている中也を他所にAは挨拶する。

「なんで手前が!!」
「ちゅーやー、Aみたいに挨拶できないのかい?」

言葉を遮られ怒りが増える中也。
太宰は呆れた表情で首を横に振り肩を竦めている。

「敵同士とはいえ、昔を過ごした仲じゃない」
「ぬかせ青鯖野郎が。昔は昔、今は今だろうが」
「メルヘンの欠片もないね」

元相棒とはいえ容赦はしない中也。

意図的ではないにしろポートマフィアと探偵社が会っていると知られるわけにはいかない。

「手前も仕事かよ」
「ううん、入水」

当たり前のように告げる太宰に今度は中也が呆れる番だった。

「Aもどう?」
「お断りします」

中也は呆れた顔から一変、仕事を思い出しAを催促した。

「おい太宰、手前覚えとけよいつか死なす」

二人を置いて足早に立ち去る中也に太宰は笑う。

「素直じゃないねぇ」
「認めてるんですよ、貴方を」
「Aもよく蛞蝓の世話ができるね」

皮肉を込めて言った言葉をひらりとかわしながらAは歩き出した。

「帽子を被る蛞蝓なんて、不思議で素敵でしょう」

十二着目→←十着目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (205 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
224人がお気に入り
設定タグ:男主 , 中原中也 , 文スト
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ハル - 面白かったです!とても感動しました!主人公が選んだ服や帽子を今も着ていると思うとグッとくるものがあります!大切なものを大切にしておこうと思いました!とてもよい話をありがとうございました!! (2017年1月27日 21時) (レス) id: d2f978314e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 加奈さん» ありがとうございます!!距離感は大切に書いていますのでそういう点に着目して頂けたのは嬉しいです! (2017年1月18日 7時) (レス) id: 2f9be25c6d (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - もうなんか男主くんと中也の距離感が素敵過ぎて悶えますこの小説大好きです作者様ありがとうございます…… (2017年1月16日 21時) (レス) id: 191a0f55fe (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 天さんさん» ありがとうございます! (2017年1月12日 22時) (レス) id: 2f9be25c6d (このIDを非表示/違反報告)
天さん - めっちゃ面白いです!!中也はやはりイケメンですね(吐血)更新頑張ってください! (2017年1月12日 19時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2017年1月4日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。