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dawning ページ20

芥川の怪我の処置が終わってから俺はふと、近頃の報告書に目を落とした。


「…近頃、マフィアを狙う何かが動いていると聞いた。矢張り、そのことか?」

珍しく食い気味な芥川。


「あぁ。この前、俺が潰したのもマフィアを狙う海外の組織だった。武器庫が目当てだったそうだが。」

芥川は俺の話を退屈そうに聞き流した。


そして翌日。


本部のソファで5時頃に目を覚まし、上着を適当に羽織って窓を開ける。

これはちょっとした俺の日課だ。


ちょうど港の見える窓辺に座るとまた可笑しな景色が見えた。

そういえば芥川を見つけた時もこんなだったかと目を凝らすとあの時以上の数の黒服の姿が見えた。


港へ歩いて行くと、途中で誰かに話しかけられた。

「おや、Aくんかね。久しぶり。」

この声には確かに聞き覚えがあった。

太宰に紹介されて会ったことがある。

「…広津さん、なんで此処にいんの?」


目の前の広津という男は港の近くの倉庫を指しながら話した。

「また武器庫が襲われたんだ。で、今回は中身を盗まれた…と。」


俺は倉庫のロックを調べた。

ロックは番号入力型の立派な造りだ。

「この倉庫の番号を知ってるのは幹部だけだ。」

「…と、なると…」


「内部に裏切り者が居るってわけだ。」

突然と言っていいほどに姿を現し、俺の言葉を繋いだ。

「太宰君、今来たところかね?」

「やぁやぁ広津さん。ところで、あそこに置いてある亡骸…構成員かい?」

太宰の言葉でふと、岸の方へ目をやると3人ほど横たわっているのが見えた。当然、死 体だ。


「武器倉庫を巡回してた構成員だろう。」


「…構成員を殺 された挙句、武器を盗まれるとは…少し損害が大きいな。」


今日の本部は武器庫の事件で賑わっていた。


俺にはあまり関係のないことなので黙って机に座っていた。

普段なら太宰に文句を言われるのだがその太宰が不在なのだ。


ぼーっとしているといつの間にか眠りに落ちていた。

ふと見えたのは真っ暗な夢。


海の岸辺に転がる一つの亡骸

包帯に包まれた細い身体。


夢からふと目を覚ますと特に何ともない平凡な天井だけが見えた。



「…あんなことでも思い出すのかよ。」


今日もまた、自分の弱さを知った。

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きりん。(プロフ) - Rさん» 有難う御座います!! (2017年6月11日 19時) (レス) id: 4bb6f05387 (このIDを非表示/違反報告)
- 今から読んでみます! (2017年6月11日 13時) (レス) id: 0a6b6d9361 (このIDを非表示/違反報告)
yuma - きりん。さん» ええ、もちろん。 (2016年10月9日 22時) (レス) id: 24df768a59 (このIDを非表示/違反報告)
きりん。(プロフ) - yumaさん» 読んでくださり有難う御座います(^言^)病んでるの好きでしょう?wwwww (2016年10月9日 22時) (レス) id: 4bb6f05387 (このIDを非表示/違反報告)
yuma - いい感じに病んでますね(゚c_ (2016年10月9日 22時) (レス) id: 24df768a59 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きりん。 | 作成日時:2016年10月3日 0時

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