茨の狙撃手2【ゴールデンカムイ】 (ページ8)

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56話ページ8

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『網走までもう少し…私はどっちにつけばいいんだろうね』

腕に止まる鴉を撫でながらボソリと呟く
今後の身の振り方が全く見えない

鶴見中尉を裏切るのはきっと容易ではない…でも今までの恩がある
かといって、ウイルクとの約束もある
アシㇼパはAにとって本当に妹に等しいのだ

きっと近いうちにどちらかを選ばなければいけなくなる日が来るだろう
私は…どちらを取ればいいのだろう

鶴が飛び交う大空にAは鴉を放つ
大きく羽ばたきながら高く舞うソレを見上げていた

白石「Aちゃん…？今の鴉？何かしてたの？」

『ﾂ…!?し、白石…尾形と一緒にご飯待ってたんじゃなかったの？』

思いもよらぬ声に一気に冷や汗が吹き出した
何でこんなに近くになるまで気づかなかったんだ…

白石「尾形ちゃんがAちゃんを探して来いって言うから…」

『そっか！ごめんごめん！傷ついた鴉がいたからちょっと手当してたんだよ！』

鴉から受けとった紙を後ろ手に隠しながらAはにっこりと笑った
これがバレてみろ…杉本ならきっと私を有無を言わさずに殺すはずだ
まだ、バレる訳にはいかない

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『ぶはっ…相変わらずムッとする味!!』

アシㇼパと杉本がとってきた丹頂鶴を皆で囲いながら談笑していた
あまり美味しくないその鶴に思わず愚痴を吐く

アシㇼパ「杉本は…どうして金塊が欲しいんだ？」

杉本「まだ言ってなかったっけ

戦争で死んだ親友の嫁さんをアメリカに連れてって

目の治療を受けさせてやりたいんだ」

焚き火に目を細めながら杉本はそう言った
余程大事な人なのだろうか？それにアシㇼパは少しムッとした表情を見せる

尾形「惚れた女のためってのはその未亡人のことか？」

白石「え？そうなの？」

それに杉本は何も答えない

アシㇼパ「フン、トリ、フンチカプ!!!」

『(…ちょっと嫉妬してるんだろうな、わかりやすい)』

突然踊り出すアシㇼパに驚きが隠せない2人と何となく意図を察しているであろう尾形を交互に見やる
本当にこいつは性格が悪いというか…

『まって、誰かこっちに来る…』

アシㇼパ「チロヌﾝㇷ゚とチカパシだ…なんでこんなところに!?」

遠くから草をかき分けてインカラマｯとチカパシがこちらに向かって駆けていた

『どうして…インカラマッが……』