茨の狙撃手2【ゴールデンカムイ】 (ページ18)

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66話ページ18

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『はーｯ…はーｯ……きっつ…

流石に相撲だけど技かけられないから負けちゃうな』

壁によりかかりながら床に伸びてる杉本達を見ながらAは小さく呟いた
投げ飛ばされる耐性、少しついた気がする
窓の外を覗けばいつの間にかバッタの群れは姿を消しぼんやりと月が海に映り込んでいた

番屋から出て潮風を全身に浴びる
目の端にチラチラと燃える赤が見えたかと思いきやアシㇼパが少し離れた所で焚き火を焚いていた

『アシㇼパ』

アシㇼパ「A…バッタは大丈夫だったか？」

『うん、尾形達と番屋に逃げ込んでたから大丈夫

思い違いならいいんだけどさ、何かあった？』

思いふけるようにボーッと遠くを見つめる彼女に違和感を感じた
それにバツが悪そうにアシㇼパは下を向く

アシㇼパ「チロンヌㇷ゚が…網走監獄にいるのはアチャじゃないって……キロランケニシパがアチャを殺したって…」

『ふふ、アシㇼパはインカラマッが嫌い？』

アシㇼパ｢あの女は信用出来ない…嘘でフチを騙して不安にさせたから｣

そう言って拳をぎゅっと握り燃え盛る炎を睨む彼女にAは微笑んだ

『確かにインカラマッはちょっと誤解されやすい所があるけど悪い人じゃないよ

それに、ここまで来たらもう後は網走監獄に直接確かめに行くしかないんだから…』

頭をポンポンと撫でながら遥か遠くの地平線を見つめる
私だってウイルクには会いたい…死んでるなんて思ってはない
鶴見中尉に何度聞いても網走監獄に投獄されているのっぺらぼうが誰かは教えてくれなかった…当然そこに疑う種は産まれる

『大丈夫…何があっても私がアシㇼパを守るよ

命に代えてでも……その為に保険は沢山かけてるんだから』

アシㇼパ「A…」

不安そうに見上げる妹を少しでも安心させられるように抱きしめると彼女もそれを受け入れるように背中に手を回した
その上から頭を撫でてやればアシㇼパは声を押し殺して小さく震える

そうだ、1番不安なのは彼女なのだ
アイヌを大量虐殺して金塊を奪ったのが父親だったら？
その業を背負っていくのは一体誰なのだろう

まだ小さいこの子に全てなんて背負えるわけない
私がアシㇼパを支えて守ってあげなくては…例えそれが育ての親を殺す事だったとしても