飲み友達の黒尾鉄朗に今日も口説かれる【黒尾鉄朗】

７ ページ8

▼




じゃあビールで、と鉄朗もお酒を頼む。



鉄朗ならモテるだろうし彼女の1人や2人いても可笑しくないし、友達や会社の人達と飲み会的な集まりにだって鉄朗みたいな人は場の雰囲気を壊さず楽しめる人のはずなんじゃないかと思う。



隣に座ってジョッキを持ちビールを飲む鉄朗を見ながらそんな事を考えていると


「んなに見られてっと恥ずいんだけど？」


と、そんな素振りなんて一切見えない顔の鉄朗と目が合う。



『鉄朗ってお酒強いの？』


私と飲んでる時の鉄朗は全く酔ってるイメージがない。
そう思うのは私の方が弱いのかもしれないけど。



鉄朗は、普通じゃね？と答えながら「あーでも」と視線をテーブルの上の卵焼きから私に向け


「Aちゃんと飲んでる時は緊張してるから酔えないかも〜」



なんてまたいつもの調子でヘラヘラしている。



『ふ〜ん。
鉄朗は誰かと飲みに行ったり会社の飲み会みたいなのは行かないの？』





この飲み屋で鉄朗が誰かと一緒に飲んでる所を見たこともないし、友達と飲むとかのプライベートを知らなかったから純粋な疑問だった。



「いや、仕事の打ち合わせとかで飯とか酒飲んだりとかはあるよ。
でも仕事だし酔うまでは飲まねーし。
友達とも飲むけど、アイツらも仕事やら彼女やらで忙しいから予定合わねーんだよな。」




そりゃそうだ。
鉄朗はスーツをビシッと着こなしていて如何にも仕事が出来る男という印象。
仕事が忙しいという決まり文句にも頷ける。

８→←６

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す