飲み友達の黒尾鉄朗に今日も口説かれる【黒尾鉄朗】

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平日の仕事終わり一緒に飲む事はあっても休日に２人で会うのは初めてで、緊張の所為か昨夜はあまり眠れなかった。


寝坊するよりかはマシかなんて思いながら洗面所で頑固な寝癖をどうにかして治すが、思うように治まらない。


研磨みたいにサラサラストレートなら良かったとか、やっくんのようにふわふわくせっ毛位なら良かったなと自分の髪質を恨んだ。





待ち合わせ場所に少し早めに着けば改札口から出てるくAちゃんが目に入り、初めて見るスカート姿と髪型にふんわりと香る香水。



それら全てが俺の心をドキドキとさせ繋いだ手に思わず力が入る。
手を繋ぐ事もこうして隣を歩くのだって何度もしてきたのに、いつもと違う雰囲気を纏ったAちゃんに緊張して上手く話せない。



男らしくねぇな、と少し自己嫌悪気味になっていれば『あっ！』と声を上げキラキラした表情のAちゃんの視線の先にはイルカショーの看板。



雰囲気は違っても中身はいつものAちゃんか、と安堵しつつも隣に座りイルカショーを見ながら無邪気にはしゃぐ彼女の一面を知れば更に心が惹かれた。



まだ一緒に居たかったし、大人が家に帰るのには随分と早い時間だしと自分の中で都合のいい理由を浮かべながら、普段なら行かないようなカジュアルなイタリアンのお店に入った。



お酒も食事もある程度進み、漸く俺の気持ちが落ち着いた頃にふとAちゃんをしっかりと見れば、ふっくらとした赤い唇と目元のラメがキラキラと光り、それがあまりにも妖艶で色っぽく見え理性が飛びそうになるのを必死で抑えた。

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