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「送るよ」とお店を出れば、またいつものようにサラッと私の手を取り明日から仕事だね、と嫌な現実の話しをしたり今日1日の思い出話しで盛り上がっていればあっという間に家が見えてくる。
楽しい時間は過ぎるのが早いし、今繋がれている手も家に着いてしまえば離されるんだと数メートル先の自分の家を見ながら、このまま時間が止まればいいのにと非現実的な事を考えてしまう。
そんな事を思うのは、鉄朗といる時間が楽しいという事も好きだという気持ちがあるからだと分かるのに、自分の気持ちを素直に伝える事が出来ない自分が情けなくて視線を足元に落とす。
「じゃあ、またな」と同時に離される手。
ついさっきまで鉄朗の温もりがあった手に、1月下旬の雪が降りそうなくらいの寒い風が触れ余計に寂しさと寒さを覚える。
『まだ一緒にいたい』だなんてあざとく言えるほど計算高い女でもないし『好き』と言う勇気もない。
『またね』と笑顔で言っただけで何ひとつ言いたかった言葉は言えず口から白い息だけが空を舞い、離れていく背中を見送った。
いつの間にか恒例になっていた別れ際の額のキスは今日はなかった。
その事が余計に意気地無しな自分の心がズキンと痛んだ。
何に期待していたのか。
何に対して心が痛んだのか。
今日は好きだと言われなかったから?
帰り際のキスがなかったから?
あぁ、、なんて自分勝手なんだろう。
鉄朗からの好意の言葉も全部受け取る側で私は自分の気持ちに気が付いただけで何も伝えてないのに、それがなかったからって凹んだり傷ついたりして自分勝手だ。
『ちゃんと伝えよう』
悶々と考えて答えを口に出せば、次第に眠気が襲ってきて夢に落ちていった。
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おむらいす(プロフ) - 黒瀬さん» 嬉しすぎるコメントありがとうございます=͟͟͞͞♡かっこいいクロになれて良かったです!笑またいつでも遊びに来てください♡ (2022年10月9日 10時) (レス) id: def19ab9bc (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 最高すぎてもうなんですかこれ……クロくんがもうかっこよくて、かっこよすぎて、しにそうでした。語彙力なくてごめんなさい。この作品に出会えたこと、本当に幸せです!おむらいす様に感謝! (2022年10月8日 19時) (レス) @page48 id: 59e036be23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おむらいす | 作成日時:2022年4月5日 20時