飲み友達の黒尾鉄朗に今日も口説かれる【黒尾鉄朗】

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朝９時、休日に携帯のアラームで目を覚ますのは久しぶりなんて思いながらベットから出るのが億劫に思えるほどの寒さ。



軽く朝ご飯を食べ、身支度を整え鏡の前で何度目かの全身のチェック。


『変じゃない、かな…』


迷いに迷ってニットワンピースにチェスターコート、メイクも丁寧に、髪は緩く巻いて普段は付けないお気に入りの香水をひと振りすれば、いつもよりもお洒落をしている自分に特別感が増して鉄朗とお出掛けという現実に顔が緩んだ。




待ち合わせの１２時よりも１０分程早く着き改札口を出れば、既に長身のツンツンヘアーの鉄朗が立っていた。


前に話した時にあれは寝癖なんだと言ってたけど、どんな寝相をすればあの寝癖になるのか不思議でならない。

つまり、今日も寝癖か…


気合いを入れてお洒落してきた自分が余計に恥ずかしく思えてくる。


私が鉄朗に声を掛けるよりも先に此方に気が付いたのか「お、早かったな」とニコリと笑うから『寝坊したの？』と聞けば何に対して言われているのか分からない顔。


『今日も寝癖ひどいな〜って』

「これでも直したんですけどね…
あと寝坊なんてしてねぇよ！」


俺の寝癖は頑固なんだよ、と言い張る鉄朗に思わず笑った。


「Aちゃんは、今日も一段と可愛らしいですね
鉄朗くんはドキドキしちゃいます♡」


そういつものヘラヘラ口調の鉄朗に自然と手を繋がれる。



可愛いと言われた事も、いつもよりも頑張ったお洒落もすぐに気付いて褒めてくれた事でニヤニヤとだらしない顔をしてるんだろうな。


半歩先を歩く鉄朗に気が付かれませんようにとお祈りしながら水族館までの道のりを歩いた。

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