飲み友達の黒尾鉄朗に今日も口説かれる【黒尾鉄朗】

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────ピンポーン



休日の２０時過ぎ、デリバリーも宅配便も今日は頼んでない。

友達が彼氏と喧嘩でもして泣きつきに来たのかなくらいの安易な考えでガチャっとドアを開けた。


数十センチの隙間に見えたのは


「…Aちゃん？
俺だけど…」


走ってきたのか額にうっすら汗をかいた鉄朗が立っていた。




『っ、てつろっ…』

「久しぶり」

口調は優しいのに、ドアを開けようとする力は強い。

『…かえっ…て』

年齢が１つしか変わらないとはいえ成人男性の力に勝てるはずもなく、私の抵抗も虚しく鉄朗は玄関に入ってきた。





今の私には鉄朗に合わす顔がない。


部屋が散らかってるかもとか、化粧をしてないからとか部屋着だからとかそんな事じゃない。



『鉄朗に…っ、会い…たくないっ…』

ウソ。ほんとは会いたかったくせに。


「俺は会いたかったけど？」


鉄朗は俯く私の頭を撫でながら


「…俺に会いたくなかったのは…その跡と関係ある？

どんな事でも連絡しなさいって言ったでしょーが。」


首筋に付けられた未だに消えていない跡…

鉄朗にだけは知られたくなかったソレ。



『…引いた、でしょ？』



私には鉄朗を想って泣く資格なんてないのに涙が頬を伝う


幻滅したって、嫌いになったって言って。

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