そこまで推しという訳ではない【宮治】【完】 (ページ28)

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侑「いや～、ほんまにAちゃんが仕事にするほどバレーボールにハマるとは思わんかったなあ」

と、オフシーズンに入り侑くんとBARで乾杯。

治くんと付き合いはじめてから数年が経ち、スポーツ全般の勉強をして大学卒業後は偶然にも侑くんの所属するMSBY ブラックジャッカルに配属され新人マネージャーとしてシーズン中は働き、オフになればOLとして働いている。

そう。バレーボールにハマってしまったのだ。
好きな人がバレーをしているから好きになったと言われればそれではある。
バレー経験者でもない完全にただの素人で、好きな人が好きな事に興味を持ってしまった悪い言い方をすれば彼氏に左右される女。

侑「んー、でもAちゃんが大学でスポーツ系に進むのはほんま意外やったわ」

意外だったのだろうか。
高校に入学してすぐに《宮ツインズ》を知っていたし、高校生NO.1セッター宮侑は顔は区別つかなくても興味はあったし、購買でおにぎりやらサンドウィッチを両手いっぱいに抱えた銀髪が双子の片割れだという事も気になっていた。

だから初めて治くんに誘ってもらったバレーの試合を見た時はワクワクしたし、1試合が終わった頃にはコートから目が離せなかった。

きっと治くんと付き合わなかったとしても、バレーボールの試合は友達に連れられて見に行っていたと思うし、いずれにせよ興味は持つことになっただろう。

侑「やっぱりサムの影響なん？」

『きっかけはそうかも。
でもこのマネージャーを仕事にしようと思ったのは治くんの影響じゃなくて、初めてバレーの試合を見た時も春高を見に行った時も選手じゃないのに勝てば嬉しい、負ければ悔しかった。』

侑「？つまり？」

『私たち2年の時の春高で稲荷崎負けたでしょ？
その時応援席にいたのに涙が出る程悔しかったの。
でもコートに立ってた選手の方が悔しいはずだったし、試合が終わって治くんの前に立った時は泣いたら駄目だって思った。
簡単に言えば、選手達と一喜一憂出来る立場に私もなりたかった。
でも実際にマネージャーとして選手を近くで支えてても同じ立場になれたなとは思わないし、先輩方に比べたらポンコツすぎて申し訳ないくらいだよ』

治「おれはあ～、まだ飲めるっちゅーねん、、
全っ然酔ってへん…しぃ」

隣で机に突っ伏して如何にも酔っ払いのセリフを吐く治くん。

侑「お前飲みすぎや」