そこまで推しという訳ではない【宮治】【完】 (ページ26)

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治「好きやで。Aちゃん」

『へっ？』

友達に、治くんが女の子を練習試合に誘うのは特別だからだよと言われた時よりも

角名くんに、治くんの好きな人は私だと思ってたと言われた時よりも

隣にいる治くんが目を合わせて好きだと言ってくれた今の方が、何倍も心臓がバクバクとうるさい。

『…ぅ、、うそ…？』

治「嘘やないよ。好き」

『で、も…』

治「バレーも飯も好き。
でもそれ以上にAちゃんが好き。大切や」

何度も何度も治くんは好きだと、スカートの裾をつかんだままの私の手の上から治くんの大きくてゴツゴツした男の子らしい手が優しく触れる。

『わたしも好き』

治くんと同じように私も治くんの好きな所をたくさん言いたかった。

でも一言好きだと言うだけで心臓が口から飛び出てきそうなくらいの緊張でどうにかなりそう。

治「よかったあ…
振られるんと思ったわ」

『な、んで？』

治「Aちゃんが俺のこと推しやって角名が言っとった」

『それ、は…、えっと
き、昨日宮くん……られてたから』

治「なんて？」

好きだと言ってもらえて嬉しいのに、昨日の出来事が脳裏に浮かんで思わず小声になってしまった。
何回も言いたくないのにと思いながらも

『昨日中庭で見ちゃったの、偶然。
宮くん、女の子とハグしてた、から…』

治「最悪や。1番見られたくない人に見られとったとか…
あいつほんましつこいねんな。何回も告ってきて付き合わない言うとるのに、今日で最後にするから言われてハグしてくれ言われてん」

あ゛！でも俺は腕なんて回してへんよ？
勘違いせんでな？と初めて見た焦り顔。

治「あっ、あー。
…なあAちゃん、それってヤキモチやんなあ？」

キラキラした笑顔でも、さっきの告白の時の照れた顔でも焦った顔でもなく何か企んでるようなニヤニヤした笑顔。

『や、やきもち…デス』

治「ほんま可愛ええ」

ずっと私の手に触れていた治くんの手にギュッと力が込められ、ジリジリと治くんとの距離が詰められる。

治「なあ、ちゅーしてもええ？」