そこまで推しという訳ではない【宮治】【完】 (ページ1)

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中学に上がると同時に東京から兵庫に親の仕事の都合で引っ越してきた。
こっちに来て暫くは関西特有の常識や関西弁に戸惑うこともあったけど、そんなのは2.3ヶ月もすれば慣れてくるもので。

この稲荷崎高校に入学して丸1年が過ぎた。
私は稲荷崎高校がバレーが強い所だという事は勿論知っている。
職員室前の廊下に沢山のバレー関連のトロフィーや表彰状が飾られていて、素直に凄いなあ～と思ったし全国にも行っていると聞けばどんな凄い人達の集まりなのだろう、と入学してすぐ思っていた。

だからなのか、入学してわりとすぐに兄弟喧嘩をしてるであろうバレーも上手で女の子達からも人気の《宮ツインズ》の事はクラスは違えど一方的に知っている。

私自身は中学からの流れもあったし高校でもやりたいと思い迷わずにバドミントン部に入部した。

「A部活行こ！」

帰りのHRが終わり部活の準備をしている所にいつの間に準備が終わったのか友達が廊下から声がする。
『今いく～！』と体育館に向かった。

「Aは稲荷崎のバレー見たことあるん？
Aはそん時は都合合わなくて来れんかったけど、うちさバレー見るのも好きやし1年の時に興味本位で試合の応援行ったやんか。
でな、吹奏楽部の応援は勿論凄かってんけど、見に来てる在校生の応援も想像以上に盛り上がっててん。
まあ、あれは盛り上がってるゆうより宮ツインズのファンの応援がキャーキャー騒いでるって感じやってんけど、それに対して宮兄弟が試合中なのに応援席に向かってキレてるの見て怖なってそれ以来見に行けんくなったわ」

普段の兄弟喧嘩からは想像もつかない迫力やったで、と今まで何度も見かけていた宮兄弟の喧嘩とは全く違う雰囲気だったんだくらいにしか思ってなかった。

『今日雨凄いね。』

春の雰囲気も終わり夏がそこまで来ているのを知らせるような蒸し蒸しとした気温と湿度。
まさに梅雨だ。

「失礼します。バレー部なんですけど、今日雨でテニス部が外練出来んみたいでこっち側の体育館半分使わせてもらいたいんやけど、ええかな？」

おそらく3年生の部長さんだろう。
部長同士で、使ってええよ、と会話を聞きながらこちらも練習に取りかかる。

うちの高校は体育館が2つある。
主にバレー部が使っている広めの第1体育館と、それに比べると少し狭めの今私たちが使っている第2体育館。

男バレの活気は女の子だけのバドミントン部に比べると、かなりの迫力だ。