遊び歩く言う間も無くずっと【鬼滅の刃】 (ページ34)

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「ふーん。Aってそうなんだな」

大して興味ないくせに、伊之助が意味ありげに小さく呟く。

「違う！絶対違う！そんなのってない！」

両手を大きく振って否定すれば、それを見ていた炭治郎がニコリと笑った。

「否定しなくてもいい。先生と仲が良いのはいいことだよ、A」

濁りの無い優しい瞳でじっとあたしを見つめる炭治郎へ、仲良くないと大きな声を出したその時。

「お前らうるせぇぞ」

後ろから聞こえた玄弥の不機嫌な声にあたしの肩はびくりと跳ねる。ゆっくりと背後を振り返れば、そこにはあたし達を冷たい眼で見据える彼。クルクルとペンを回しながら、玄弥はあたしと煉獄先生へ交互に目をやり溜息をついた。

「お前らがデキてんのは分かったから、もう少し静かにしろよ」

「やだ！なんで玄弥までそういうこと言うの！」

玄弥の机をバンと叩けば、退屈そうにしていた無一郎が、深く息を吐きながら言う。

「もうなんでもいいからさっさとプリント回収してよ」

「なんでもいいってのは酷くない」

有りもしないことを認めたくは無いと、グッと手に力を込めた瞬間、ブスリ。あたしには確かにそう聞こえた。ジワッと、それも急激に神経へ伝わるのは凄まじい鈍痛。

「いったぁ！！」

あまりの痛みに驚いて指先に目をやれば、親指の腹に突き刺さるのはシャーペンの尖った先。勢い任せにわざわざ尖ってる方を握ってしまったらしい。ポコリとへっ込んだ指先にあたしは思わず泣きそうになる。

「大丈夫か！地味に痛いやつだ！！」

こちらに駆け寄ってくる煉獄先生の大きな声と、伊之助のゲラゲラと笑う声。前に居る炭治郎の不安そうな顔、後ろに居る玄弥の不機嫌な顔。遠くに居る無一郎の興味無さげな欠伸。その全てに腹が立ったあたしはバカ！とだけ叫び、立ち上がってその場から駆け出した。
でもどうして、それを良しとしないのか煉獄先生がすかさずあたしを呼び止める。

「コラー！どこに行くんだ！」

「うるさいなぁ！どこだっていいでしょ！」

「飛び出しは減点だぞ！！！」

「え？…いや、あの、あー…！保健室！！！」

「了解だ！」

あたしの言葉にニッコリと笑った先生に、もはやあたしの頭は沸騰(ふっとう)する勢いで燃え上がる。キーッ、ムカつく！その清々しいぐらいあっさりした顔に飛び蹴り入れてやりたい！心の中でそう叫びながらあたしは一気に保健室まで突っ走った。