遊び歩く言う間も無くずっと【鬼滅の刃】 (ページ21)

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治療 #煉獄杏寿郎【HALLOWEEN】ページ21

ゾンビのコスプレをしたあたしはいそいそと屋敷の廊下を歩く。ズタボロの服に、血塗れの顔をしたあたしは彼の居る部屋を目指した。

煉獄さんがいつもあの部屋で仕事をしてるのは知ってる。ハロウィンだからって、脅かすためにわざわざゾンビのコスチュームだって買った。煉獄さんってちょっと変だし、絶対こんなの好きだもん。それにクオリティも申し分無い。ここに来るまでにすれ違った不死川さんや伊黒さん、無一郎くん達も、冷めた目であたしのこと見てたし。それはきっとあたしのゾンビが素晴らしくゾンビらしかったらだ。
そう思って、ワクワクしながら部屋まで急ぐ。木の廊下は直ぐに音が立ってしまうので、細心の注意を払いながら周りに誰もいないのを確認して、あたしは襖に手を掛けた。

「ふふふ……」

思わず笑みが溢れる。煉獄さん、どんな顔をするかな。すうっと息を吸って、ものすごい勢いで襖を開けた。

「わー！！」

脅かす様に出した声がうるさいぐらいに響いただけで、それ以外は何もなし。静かな和室にはもはや彼の姿すらも無し。

「……あら、いない」

おかしいなとあたしは室内をくるりと見渡すがやはり誰もいない。和風な屋敷に相応しくないゾンビのコスプレで、つまんないとだけ呟いたその時、耳元で大きな声がした。

「コラ！」

「！！！」

びくりと肩が跳ねて、振り向く前にあたしはその人に机へ押し倒された。悲鳴をあげて暴れた時、ふんわりと香った匂いでハッとした。

「おっ…脅かさないで下さいよ」

「ははは、先に脅かそうしたのはAの方だろう」

あたしを手で押さえつけたままニッコリと笑ったのはあたしが脅かすつもりだった煉獄さん。目の前に立つ彼にバクバクと心臓がせわしなく鳴り始める。