#07-5 ページ31
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ママは私の前に氷の入ったグラスを置いて水を注ぐ。
再び席に戻って、吸いかけの煙草を咥える
ママ「これを見てどう思った？」
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ママ「どうして、彼はここまでして頑張ってるのか」
「…」
ママ「Aなら分かるよね？」
冷えたグラスの周りついた水滴は
ゆっくり流れ落ちる。
何も言えなかった。
気持ちが浮ついてしまいそうで
周りが見えなくなるんじゃないかって
ママ「…迎えを呼んだわ､多分もう着いたところよ」
優しく肩を叩くと、
カランと扉が開く音が聞こえると
何も言わずママは､バックヤードに入っていく
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廉「潰れとるかと思ったわ」
ラフな格好で入ってきた廉は
髪はノーセットで
ほのかに石鹸の香りがした。
廉「Aさん？？気持ち悪いん？？」
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私の鞄を持とうと近づくと､
テーブルに広がったノートに気づいて
一瞬立ち止まる。
廉「…早よ､帰ろ､A」
鞄と私の腕を掴んで､そのまま店を出る
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結構な距離を歩いたと思う。
それまで廉は何も言わず
腕を掴んで少し先を歩く。
「廉､ちょっと速い…」
廉「ご、ごめん」
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パッと離され、こっちを振り向くけど
視線はどこを見ればいいのか
安定せず､ずっと泳いでいる。
「……」
廉「………」
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「廉､自分の店の為に
色々と掛け持ちして頑張ってたんだね」
ほとんどを貯金して､
あと少しで夢も叶えられるみたいで
「岸さんの夢だったもんね!ほんと凄い…」
廉「…あのさ」
首元を掻きながら､
やっと合った廉の目は
少しキラキラ潤んで見えて
廉「少し時間ある…？」
「少しなら大丈夫だけど？」
紫耀から連絡はまだない
彼も付き合いが長引いているようだ
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廉「家に来て」
「は？」
廉「すぐそこやし､なーんも変な意味で誘ってへんから‼信じて‼」
「…」
廉「ほんまやって」
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作者名：おもち | 作成日時：2021年2月22日 19時
