【あんスタ】マッドサイエンティストは何を願う 【逆先夏目】

２３ 日常 ページ24

「おはよ！！」

「わっ、おはよう」


後ろから甲高い声が聞こえ、振り向くと 案の定 桃李くんが立っていた

あれから、別れ方が別れ方でてっきり怒っていると誤解していた私はどうやらまだまだ人を理解していないらしい

最も、理解する気なんて起きないけれど


「怒ってないんだ」

「えー？そりゃあビックリしたけど、そういう意思のすれ違いって誰にもあることでしょー？まぁ今度からはボクという主に逆らえないように教育しておいてあげるよ、ど・れ・い ♪」

「こら、桃李くん、その失礼な言葉遣いどうにかならないのです？桃李くんの方こそ教育を受けた方がよろしいかと！」

「うるっさいな、司〜！！」


意思のすれ違い……か
一理あるかもしれない

本当に無知だったんだな 私って

宇宙のことを全て理解していて、分からないことなんてそうそう無いと思っていたけれど、それは全て間違えで、今現在対人関係の問題に直面してしまっている

世界はまだまだ広い
未知に溢れている

二人がいがみ合っているのを横目に、何かが私の肩をちょんとつついた


「…宙くん」

「おはようございます！A、お願いがあるな〜？」

「お、お願い？」

「Aはゲーム好き？」

「ゲーム、んーあんまりしないけど……」


後ろを振り向けばそこには宙くんがいて興味深そうに私に問う

ゲームなんてほぼほぼやってこなかったな
けれど一時期はまったものならある

ゾンビを張り倒すゲーム


「う〜ん、宙はゲームの楽しさをAに知って欲しいです！今日の放課後、宙とゲー研でゲームするな〜！……それに！」

「それに？」

「A、最近思い詰めた色をしてます、そんな時は楽しいゲームをして明るくなりましょう！！」

「……へへ ありがと」

「じゃあ！」

「ゲームが下手な私でいいならね」


私を励ますような宙くんの言葉に何かじーんときてふわふわな頭を撫でてやると可愛い笑顔を浮かべて喜ぶ

きっと宙くん自身の目的は私を励ますというも
のだろう

嫌でも私の重い感情が見えてしまう宙くんは そんな私を自らの手で励ますというのだ
本当にいい子だ


「あ、ずるい！！」

「わ、私もたまには！！！」

「ダメだよ司、主導権はボクにあるんだから♪」

「なっ、そこはAさんの意思を尊重してですね！！」




……この人たちと違ってね


そんな暖かな 日常 が私の心を今日も満たした

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