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*
彼はほっと一息つくと、机に肘をつけて体重を任せた。そして私をまっすぐ見つめて人差し指を目の前に差し出す。
「ぜーったい、秘密だよ」
人差し指が段々と近づいてきて、……ぷに。
浦田さんの指が唇にあたり、その圧迫感に唇が少し凹んだ。
それがやたらとゆっくり動いて見えて、思わず反応が遅れる。一拍置いて、慌てて後ろに仰け反った。
「……ぇ、え、えぇ！？ちょっとやめてください！大丈夫です秘密にしますから！」
「Aが秘密にする絶対的な証拠もないじゃん」
「それ言われたら何も言えないんですけど……」
所詮は口約束。それを破るつもりは毛頭ないが、口約束に証拠などありようもない。いったい私にどうしろと。
「何か、形に表してよ」
「……私が秘密を破る、と思ってるんですか？」
「もちろん思ってないよー？……でも、Aだって人間だからさ」
拾い子ということもあり丁重に扱われている立場を利用し、違う方向から逃げようとしたのだが、触れにくい暗い事情で言いくるめられた。……それだと逃げにくいじゃないですか……酷い。
「ね、だから何かして？」
「……何をすればいいんですか」
「えー、何だろ」
かなりぐいぐい来ていた浦田さんは、私が言い返すとその乗り出していた体制を戻し、うーん、と悩み始めた。
「……じゃあ、Aの秘密を教えてよ」
「記憶喪失の私に何を求めているんですか」
呆れ気味な顔でそう返すと、彼はぷくりと頬を膨らませて不本意であることを表情に表す。そんなことしても無駄です。この前同じ事を坂田さんにもされましたし。
「記憶喪失でも何かあるでしょ。昔っからの何かが」
「えー、何でしょう……」
浦田さんからの願いで仕方なく、ほとんど真っ白な脳内の記憶を覗いてごそごそと漁りだす。何かあるかなぁ……
「……あ」
「何かあった？」
「それ程の物ではないのですが、あまり表に出したくないものなら」
「それでいいから！」
もの凄い勢いだ。そんなに恥ずかしかったのですか。……別にそんな秘密じゃないのだけれど。
「……が、好きです」
「肝心な所を誤魔化さない！はっきりと！」
「……動物が！好きです！！」
彼に思い切り揚げ足を取られ、彼の想像を遥かに卓越したであろう大声をあげた。もはや叫び声である。
「……え？どう、ぶつ？」
「はい。……特に、猫が」
話している内に何だか恥ずかしくなってきて、顔が熱くなる感覚がした。ひゃ、照れるー……
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響 - めちゃめちゃ好きです！よかったら続きお願いします✨ (2022年5月23日 21時) (
レス) id: c19490a4d5 (このIDを非表示/違反報告)
甘党ミカン - 4人とのやり取りにニヤニヤしてました((どうでもいいかもですけど笑ってるけど目元が笑ってない怒り方ってなんか怖いですよね(自分だけかも)最近､花魁等にはまってるのでこういう作品をありがとうございます(*´▽｀*)更新頑張って下さい! (2020年9月25日 2時) (レス) id: 8dcda58632 (このIDを非表示/違反報告)
絵怜音(プロフ) - のこさん» コメントありがとうございます！いやいや、私も書きながらニヤニヤしてるので！いや寧ろ、カオナシみたいに語彙をなくしているので！多分私の方が気持ち悪い……です！のこさんこそ、コロナにお気を付けてくださいね。コメントありがとうございました！ (2020年5月13日 6時) (レス) id: d5db198697 (このIDを非表示/違反報告)
のこ - 更新お疲れ様です！とても面白かったです！！urtさんサイド最高です！一人で2828してました！！(キモいですよね…)更新頑張ってください！コロナウィルスにも気おつけてくださいね。コメント失礼しました！ (2020年5月11日 21時) (レス) id: e0ede7313f (このIDを非表示/違反報告)
絵怜音(プロフ) - ゆりま(ゆきな)さん» コメントありがとうございます！花や、花良いですよねー！私も好きです！面白かったですか！嬉しいです！更新頑張ります！ (2020年5月9日 9時) (レス) id: d5db198697 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：絵怜音 | 作成日時：2020年4月4日 18時
