【黒バス】愛が溜まった水槽で溺死しよう。【短編集】

ニジイロ恋心　【虹村修造】 ページ17

色んな感情が交じり合う、恋心。

相手の噂や言葉に一喜一憂するなんて、馬鹿げたことなんだろう。


でも恋とはそういうものだ。
嬉しくもあって、悲しくもある。


とても幻想的な、





「鮮やかで、綺麗な色だと思うのよ。」

「･･･は？」

「こっちの話。それより第二ボタン頂戴な。」

「死守すんの大変だったんだぞ、感謝しろよ。」



私の手に渡された帝光の制服ボタン。
太陽の光に当ててみると、キラキラと輝いている。



「･･･そんなに欲しかったのか？」

「いいえ、全然。」

「ちょ、おま」

「ふふ。女子は思い出作りに必死なのよ。」



"好きな人"限定で、ね。

心の中で静かに呟いた。すっと目を細め、彼の整った顔を見つめる。
不思議そうな顔で見つめ返してくる彼が可愛くて、微かに頬が緩む。



「･･･俺との思い出を作りたいんだろ。」

「自意識過剰？」

「ちげーよ！･･･お前の気持ちなんて最初から知ってるっつの。」



Aって分かりやすいし。

頬を朱に染めてそっぽを向く修造は、私にはまだ子供に思えた。



「･･･気付いてたんなら、はっきり言ってくれれば良いのに。」

「ばーか。面と向かってなんて恥ずいだろーが。」

「片思いかと思った。」

「俺もだっつの･･･。」



ポタ、ポタ、と頬の温かい雫が伝う。
これは多分、嬉し涙というものだろう。



「･･･泣くなよ。俺がやったみたいだろ。」

「大半は、貴方のせいよ。」



私の肩を引き寄せて、その力強い腕に抱き締められる。苦しい。

まだ肌寒い時期だというのに、その体温は温かかった。



「あったかい。」

「そりゃあ、俺だもん。」

「答えになってないね。」



目を閉じて、修造の胸に体を委ねる。



「･･･あー、そのな、A。」

「なに？」



私から視線を逸らし、決心したように口を開く。

その口が紡ぐ言葉は。






「ずっと前から好きでした･･･つ、付き合ってください。」






･･･小学生みたい。


心が幸せでいっぱいに満たされた気がした。







「喜んで！」







.







ニジイロ恋心。

(鮮やかで、輝いていて、そして幸せな色。)

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