プロローグ ページ1
実際に政府から公認されており、そして世の審神者からは都市伝説とされている、とある審神者を知っているだろうか。(というか、それが俺なんだが。)
政府公認と言われると身構えるかもしれないが、黒い袴に羽織と面布、そして祟り神に成りかけた黒い鶴丸国永を連れた ただの男の審神者である。
本丸は持たず、自らの刀剣男士もその鶴丸ただ一振。
では何をしているのかと言えば、政府から頼まれたブラック本丸の沈静化、浄化を仕事としているのだ。
そこに刀剣男士たった一振と行くだなんて無謀ではあるが、俺の鶴丸は堕ちかけているので正確に言えば既に刀剣男士ではない。
つまり、練度というものが既にあらずその辺の刀剣男士には引けを取らないのだ。
というか、そこに居るだけでも鶴丸の穢れは辛いらしく、刀剣男士達は目を回して倒れていく始末である。
普段は少量良質の霊力を持つ俺によって中和されているが、ほぼ歩く爆弾のようなものなのだ。
ちなみに俺の顔は噂ではとんでもない妖艶な美女だの、三日月レベルのイケメンだの色々言われているが、実際は20代後半の童顔なフツメンである。
…イケメンじゃなくて悪かったな!!!(逆ギレ)
女審神者を期待してた奴は悔しいけどめっちゃ分かる……。
とまあ、こんな風に中身もごく普通の一般人だ。
けれど一般人でもカッコつけたいもので、審神者名はAなんて洒落たものにしていたりする。
割と気に入っているのは秘密である。
それを知っているのかいないのか、鶴丸は俺の事を【主】ではなく審神者名で呼んでくる。
「よっ、A。随分と熱心に考え事をしていたものだなあ。」
まるで俺の心を読んでいるかのようなタイミングで話しかけてきた鶴丸に、俺は苦笑する。
「いや、鶴丸とは随分長い付き合いだなあ、と思ってさ。」
それに鶴丸は怪訝そうな表情を浮かべたが、次の瞬間にはいつもの笑顔で俺の背中をバシバシと叩いてきた。
「おっと、物思いに耽るには早いんじゃないかい?俺達の次の仕事場が決まったそうで政府の人間が呼んでるぞ。………ちなみに俺はきみの阿呆面を30分程 眺めていたが。」
「次の仕事かあ……………って、30分!? 鶴丸、お前もっと早く言えよ!!担当さんにどやされるじゃねーかっ!」
俺は鶴丸のニヤけた顔に拳を叩き込みたい衝動を押さえ込み、鶴丸の羽織のフードをとっ掴むと政府内の仮眠室を後にする。
鶴丸が後ろ向きにいきなり引っ張られてコケそうになっていたが知るものか。
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作者名:雑食の極み(多分)┐ | 作成日時:2022年1月22日 19時