涙色に染まる ページ14
「...それはどういう意味だい？」
瞳を閉じたまま貴方は問う。
わかってるくせに、わざとらしく聞かないでくださいよ。
もう、泣いちゃいそうなんですから。
「...俺、試合の時Aさんが絶対見えるように、いっぱい練習します。
成績だって、今は確信がない...けど、オール５を絶対見せて、あげますから。
ミサンガのお願、い、も...」
ああ、情けない。
声が途切れて、代わりに温度の増す涙だけが座った膝にぽたぽた、と落ちる
抑え付けたいという願望からか、ぐっと目を強く瞑る。
依然として涙は収まらず、無力感からか量は増していくばかり。
もう話せない。もう少しで全部伝えられるのに。
もう少しで、貴方を助けられるのに。
「...大丈夫、ちゃんと伝わってる。」
そういって、そっと頬を撫でる指先。
貴方は静かに微笑みながらも、頬に一雫涙を零した。
「マサキ君、大きくなったね。」
その優しい手は、弱く俺の頭を撫でてくれた
さらさら、と髪の擦れ合う音が耳の近くで鳴って、だんだんに消え入る。
不意に顔を上げると、一雫だったはずの涙がぽろぽろと頬を伝ってこぼれていた。
「...ああもう。なんか恥ずかしいな...」
そう言いながら真っ白い手で涙を拭き取ろうと、頬や目を擦った。
震える声や息は、まったくもって俺と同じくらいで。
「Aさん...」
「うん。」
「...待ってて、くれ、ますか？」
全身から振り絞って、最後の一言を伝える。
貴方は分かってる、と言ってくれたけど...どうしても伝えたかった。
それは俺がきっと[伝えた]という証が欲しいだけかもしれないけど
Aさんは、涙の跡が残る頬のままいつもの微笑みを浮かべて
「待ってるよ。ずーっとね。」
と、俺を強く抱きしめてくれた。
ああ、もう。
助けるつもりだったのに、助けられた気分だ。
Aさんの、バカ...
...ありがとう。
.
.
.
「ヒロト」
「何？姉さん」
「もしAが元気になったら、どうなると思う？」
突拍子もない質問に、少し戸惑う。
だが答えはとうに見えている。というより、決まっている
「...お日様園から出て、風丸君と結婚すると思う」
あまり気にしない素振りをしながらいうと、姉さんは苦く微笑んだ
...意地張って。とか思ってるんだろうな。
意地張ってるのは、俺だけじゃないのに。
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夜月桜 - な、泣ける。・゜・(ノД`)・゜・。 小説でこんなに感動したことないです(>_<) (2017年3月29日 20時) (
レス) id: 889de71093 (このIDを非表示/違反報告)
佐奈(プロフ) - Mmさん» こちらこそよろしくお願いします！よろしかったら他作品もよろしくお願い致します。 (2015年1月3日 20時) (レス) id: 2725121de3 (このIDを非表示/違反報告)
Mm - よろしくお願いします! 更新頑張ってください!! (2015年1月3日 16時) (レス) id: 5a5650f5d4 (このIDを非表示/違反報告)
佐奈(プロフ) - Mmさん» コメントありがとうございます！もうすぐラストなので、この雰囲気を保ちつつ納得がいくエンドをかけるよう頑張りたいです。更新も張り切りますので今後もよろしくお願い致します。 (2015年1月2日 15時) (レス) id: 2725121de3 (このIDを非表示/違反報告)
Mm - すごく良かったです!読んでるとき涙がでてきてもう大変でした笑 更新待ってます＾＾ (2015年1月2日 15時) (レス) id: 5a5650f5d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐奈 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/e2e95d529a1/
作成日時：2014年9月20日 20時
