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「ねーさんタイム!」
「俺の記録!!」
「ごめんボールそっち行った!」
紺青の空の元に響く部員達の声
自主練が始まって各々サポートを必要としているのは分かるがそんな一気に叫ばないで欲しい。私は聖徳太子じゃない
とりあえずこちらに来たボールを手を上げている部員の方へ蹴り返し、恐らく私を呼んだであろう2人にOKサインを出す
1人で数人の練習をサポートするのも慣れたもんだが、やっぱり人手が欲しくなる。
『(……新マネ、かぁ)』
マネージャー希望の子が居なかった訳じゃない。
と言うか居る。
ただ1年生の入部から近いタイミングで練習試合が控えていた事もあり、監督の意向でマネの部活の本格参加は練習試合以降と言う事になったのだ。
……気づいた?え、気づくよね?
監督は千切に羅実デビューを確実にするつもりでいる。
つまり千切の初のレギュラー戦を前に新マネを入れて不手際等で練習が滞るのを嫌ったのだ
だから今1年生マネちゃん達は怪我で練習見学中の3年の先輩にドリンク作りやボール磨きなど基礎的な事を教えて貰ってる最中だとか、
監督の千切愛にも困ったもんだ
「おいA!!黄昏れるんじゃない!!」
『うるさい計助あんた3:3で千切に抜かれた分のシャトルラン0.2秒オーバッ……クシュ!』
「……なんだ、寒いのか?」
鰐間弟の言う通り、ほんとは寒い。
いやだってさ?
一応まだ4月よ?しかもほぼ夜よ?
夕方前暖かいから〜なんて調子乗って薄着にしたらそりゃ寒いよ。そこ、自業自得なんて言わないで。
「しょうがねぇな。俺の上着貸してやんよ」
『……貸し作ったってペナのシャトルラン減らさないからね?』
「知ってるから早く着ろ!!……ったくお前はっ」
自身の厚手の上着を投げた彼は兄の様に鼻息荒く去っていく
『(……あったかぁ)』
借りた上着に袖を通してシャトルランのスタート位置に着いた計助に向かって“よ〜い、ドン”と叫び、ストップウォッチを押す
鰐間兄弟はさ、
一々うるさいし、一々めんどくさいけど
ちゃんと優しいのよね
「っねー、さん!!」
『……16本。2本足りないからダッシュ4本〜』
「ゥッス!」
その返事を皮切りに新たなストップウォッチを押す。
明後日のレギュラー発表に向けてまた1人走り出した羅実のサッカーコートで
ルビーの瞳に睨まれた気がした。
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かまぼこ(プロフ) - 志希さん» わぁありがとうございます!!ゆっくりと更新してまいります! (2月29日 16時) (レス) id: b72455cc3b (このIDを非表示/違反報告)
志希(プロフ) - 大好きな作品です!主様のペースでゆっくり頑張ってください(*´˘`*) (2月27日 0時) (レス) @page26 id: 72017f3ec0 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこ(プロフ) - 夜月 サキさん» 更新お待ちさせてしまって申し訳ないです…。今後も本作品をよろしくお願いします! (2月12日 19時) (レス) id: b72455cc3b (このIDを非表示/違反報告)
夜月 サキ - 続き気になる〜 (2月12日 13時) (レス) @page24 id: 911abfc5cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かまぼこ | 作成日時:2023年8月1日 22時