監督生の帰宅 〜10〜 ページ48
Aが馬車にはねられる少し前。
Aは帰りたい焦りの中、少しだけめだかちゃんと話しをした。
雷鳴が轟く。
近くに雷が落ちたようだ。
「うわぁっ！」
めだかちゃんは驚いて母親にしがみつく。
「近くに…雷が落ちたみたいですね。めだかちゃん、大丈夫？」
Aが母親とめだかちゃんに言う。
「うん…。大丈夫だよ。ねぇ、ママ。またパパが怒ってるの？」
〜パパが怒ってる？〜
Aがめだかちゃんの言葉を不思議に感じた。
「そうね。早く家に帰りなさいって言っているのかもしれないわね」
母親がめだかちゃんに言う。
そのやりとりを見ていたAに母親が付け加えた。
「実はこの子の父親、一年ほど前に亡くなったんです…。まだこの子は小さくて、死というものを理解できなくて。私がパパはお空の上にいるのよ、って伝えたんです。いなくなった事は分かるようなんですけど…。私も夫を亡くし、この子と二人で生きていくのが始めはツラくて…。この子と一緒に夫の元へ行こうかと、何度も考えました」
母親は誰かに聞いてもらいたかったかのようにAに話しをする。
「そうだったんですね…」
それ以上、Aは言葉が見つからない。
「そしたらある日、この子がボクはパパの代わりにママを守るんだって言ったんです。それを聞いて、私は何で馬鹿なことを考えてしまったのだろうと、後悔しました…。それで、雷はお空の上にいるパパが怒っているんだって、この子が勝手に解釈するようになって」
〜めだかちゃん、強いんだな…〜
「めだかちゃん、パパが早く家に帰りなさいって言っているのなら、そろそろ帰らないと…」
Aが話している途中、後ろからたくさん悲鳴が聞こえた。
そして何かにぶつかるような音も何度も聞こえてきた。
Aは振り返る。
「えっ？」
暴走した馬車がAたちに向かって物凄い速さでやって来る。
「めだかちゃんっ！逃げてっ！」
Aは咄嗟に大声で叫んだ。
「ママを守らなくちゃっ！」
しかしめだかちゃんは母親から離れて小さな身体を大の字にして、母親の盾になった。
母親も必死にめだかちゃんに駆け寄る。
Aも同時にめだかちゃんに駆け寄る。
もうダメだ。
間に合わない。
馬車はめだかちゃん寸前の所まで来ていた。
そして。
Aは母親より先にめだかちゃんを抱き締めその場から走ろうとした。
しかし。
ドシャッ……
何かがぶつかる鈍い音が響いた。
そして、悲鳴があがる。
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魅樹(プロフ) - 五月雨さん» 五月雨様 ありがとうございます。いつも読んで頂いてとても嬉しいです。コメントを糧に、これからも書き続けていきます。引き続き読んで頂けたら嬉しいです。 (2023年2月12日 22時) (
レス) id: e979216df4 (このIDを非表示/違反報告)
五月雨(プロフ) - うわぁ こんな展開になるなんて…ほんと涙出てきちゃいました。相変わらず素敵な作品ですねぇ〜これからも体調に気をつけて頑張ってください！あと、夢小説を荒らすやつにも気をつけてくださいね (2023年2月12日 21時) (レス) @page40 id: 5406dac44d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年2月8日 12時
