施設完成 〜3〜 ページ10
「ねぇ。Aもスーツじゃーんっ…」
フロイドが近付いてきた。
「えっ…。だって着替える時間なんて…」
フロイドがマジカルペンでAをスポーツウェアに着替えさせた。
「こっちの方が良いってぇ〜」
「ええ。とてもお似合いです。お兄ちゃん、嬉しいです」
「お兄ちゃん…」
ジェイドは事あるごとにお兄ちゃんと言ってくる。
「フロイド。ついでに私も着替させてくれない?」
「なんでだよっ!」
「では特別に僕が」
ジェイドがメグにマジカルペンを向けて着替えさせた。
「あら…。素敵」
「自分でゆーなよっ…」
「ふふふ。いつも弟と可愛い妹がお世話になっているので。そのお礼です」
「ありがとう、ジェイドさん。これで俄然、仕事に気合が入るわっ」
「社長もいかがです?いつも可愛い妹が働かせて頂いているお礼に」
「いやぁ。私は結構…」
「そうですか。気が変わったら、いつでもお声掛けくださいね」
「あぁ…。気持ちだけ、受け取るとしよう」
「はぁっ…。お前たちは何をやっているんだ…」
アズールは一人ため息をついた。
平日にも関わらず、施設にはたくさんの人が集まった。
ほとんどはフロイド目当てかもしれないが、中には本気でパルクールを練習しに来た人たちもいる。
セレモニー開始の時間になり、一行はパルクールの練習会場へ向かう。
レースが出来る練習コースは屋外にあるが、室内の練習場もあり、天候が悪い日でも色々な練習が可能だ。
レースと言っても大会が出来る規模では無いが、それでも賢者の島では最大級のパルクール練習施設だ。
練習だけでなく、スパやレストランも併設され、これはパルクール練習者だけでなく、一般の人たちも利用できる。
もちろん、レストランはモストロ・ラウンジが経営する。
今回のセレモニーはこの屋外の練習コース前で行われる。
外に出ると記者たちが一斉にカメラを向け写真を撮る。
アズールやジェイドもそこそこ慣れている。
セレモニーに出席するのはフロイド、社長、アズール、ジェイドの4人。
Aはメグと離れた所で4人を見守った。
フロイドの姿を見つけると、セレモニー参加者は拍手で出迎えた。
運動着姿以外の人は誰もいない。
本格的な服装の人もいれば、Tシャツ短パン姿の人もいる。
セレモニーに参加者出来るのは練習目的の人のみだからだ。
それにここは利用料を支払った人しか入場出来ない場所だ。
司会者が待つコース前に立ち、セレモニーが始まった。
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月15日 10時