施設完成 〜2〜 ページ9
その部屋にはアズールとジェイドが待機していた。
2人ともスポーツウェアを着ている。
「何?パルクールやんの?」
「やる訳無いでしょう…。その場にふさわしい格好をしただけですよ」
「僕はトレッキングが趣味な事もあり、この格好にも慣れていますよ」
「ふーん。やる気あんなら教えてやろーと思ったのに」
「モストロ・ラウンジ限定お食事券、フロイドにマンツーマンでパルクールを教えてもらえる権利付き。一人20万マドル。どうです?」
「やんねーよ…。高ぇしっ…」
「ここまで有名人になれば安い方だと思いますがね」
トントントン
ドアがノックされた。
「失礼します」
部屋にAの会社の社長秘書が入ってきた。
そのすぐ後ろからスーツを着た社長が現れた。
「えー?社長スーツじゃーんっ」
「これはリーチ君。おはよう」
「うん、おはよー。社長もオレたちみたいな格好にすりゃ良かったのにぃ」
「こらっ、フロイドっ」
アズールが慌ててフロイドを止める。
「これはこれは、気が利かず、着慣れたスーツで来てしまいました。まぁ、私はただちょろっと挨拶するだけだしねぇ。構わないでしょう」
「みんなパルクールやんねぇんだぁ…」
「フロイド。我々はフロイドの提案に協賛しただけです。フロイドのように本気でプロを目指している人たちはこの後セレモニーが行われる施設にゴロゴロいるでしょうに。僕たちはそのお手伝い…、要は縁の下の力持ちなのですよ」
「ゴロゴロって…」
トントントン…
「遅れてすみませんっ!」
勢いよくAが入ってきた。
「A〜っ!待ってたよぉ!やっぱオレと一緒に来れば良かったじゃーん」
「ダメだよっ。私は私の仕事を済ませてからじゃないと来れなかったんだからっ」
「どーせおばちゃんたちに指示するだけでしょ〜?」
「指示じゃなくて、……あぁ…まぁ…指示…です…ね…」
「何そんなちっちぇー声になってくんだよ…」
「Aさんは結婚されても何一つ変わらず我が社に貢献してくれているとても優秀な社員ですよ。今日だって、私もリーチ君と同行するよう提案したんだが、仕事を終わらせてから来ると言ってねぇ」
「ただでさえ、遠征で休暇取りまくってるですから…、これくらいはしなくちゃと…思いまして…」
「はっはっ!素晴らしい!」
社長が豪華に笑った。
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月15日 10時