再出発 〜6〜 ページ47
サムも照れながら小さく手を振る。
薔薇の王国の空港でも、到着ロビーは大混乱になっていた。
「フロイドーっ！運営委員に見せつけてやれーっ！」
「頑張ってー！」
「ありがと。頑張るね〜」
声援に笑顔で手を振る。
──フロイド・リーチ選手 四連覇達成！──
──去年の屈辱を実力で見事に果たす！──
──フロイド、サム、同チームで１位2位独占！──
賢者の島では号外が配られた。
島にはパルクール施設が少しずつ増え、フロイドやサムから月に一度、レッスンを受けられるスクールも作った。
一定の基準を合格出来るのは僅かな人数だが、そのスクールに合格出来るように子供から大人まで沢山の人たちが練習し、挑戦した。
そして更に月日が経ち。
4年に一度開催されるパルクール世界大会がやって来た。
「安定期に入ったタイミングで良かったぁ。私もフロイド君と輝石の国に行かれるね」
「本当に大丈夫？」
大会近くのある日の夜。
フロイドとAはリビングのソファーに並んで座っていた。
フロイドがAのお腹を優しく擦る。
「オレたちの赤ちゃん…。本当にAのお腹の中で育ってるんだねぇ。なんか不思議〜…」
「うん。胎動もあるし、元気だよ」
「赤ちゃん。パパの試合、一緒に見に来てくれる？」
「あっ！今動いたよっ」
「マジで？分かんなかった〜」
「うふふ…。まだ胎動も弱いからね」
「A、ムリしてない？」
「私も行きたいし、きっと赤ちゃんもパパを応援しに行きたいって言ってるよ」
「そっかぁ。じゃ、身の回りの事は全部メグに任せてぇ、ムリしない程度で応援してね」
「うんっ」
「名前も考えないとね〜。まだ性別もちゃんとは分かんねぇし。両方の名前の候補考えれば良いだけだけど〜」
「そうだね。楽しみ…」
そして。
──フロイド・リーチ選手 世界大会2連覇！──
──リーチ選手 負け知らずの世界大会2連覇達成!!──
『妊娠中のA夫人も同行し、リーチ選手も相当気合いが入っていたと思いますよ〜っ』
『リーチ選手が間もなくお父さんになるんですからねぇ。お子さんが産まれた後も、更なる活躍を期待したいですねー』
『フロイド選手の事務所も嬉しいでしょうね。フロイド選手の後輩、サム選手も今回の大会で3位になった訳ですし』
『リーチ選手の所属チームに入るには、今では相当な難関試験をいくつもパスしなければいけないとか…』
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月15日 10時
