再出発 〜2〜 ページ43
「マネージャー!?キーズが？」
フロイドが思わず目を丸くした。
「選手として自分の才能の限界と、今回の騒動の発端に関わったと責任を感じて引退すると言ってきたの。私達はそこまでしなくて良いと言ったんだけど聞かなくてね。それでパルクールの世界から完全に抜けてしまう事に未練があるのを知っていた監督がキーズに提案したのよ」
「それがマネージャー…」
「キーズはああ見えて兄貴肌なのよね。フロイドには真っ向からぶつかっていたけど、根は優しい子なの」
「ふーん」
「それで、サムの専属マネージャー候補として育てていくつもりよ」
「はぁっ？サムの専属〜っ？」
「何よ。不満そうね」
「キーズがサムに好意持っちゃったらどーすんだよっ！メンタル支えるのがマネージャーの仕事だろっ！」
「それは大丈夫よ。キーズはニコルに言い寄られて断り切れなかっただけだから」
「……最終的には愛し合うとこまで行ってんじゃん…」
「それで失敗してるんだから、同じ事なんかしないでしょ」
「まぁ…、上が決めた事だからオレがとやかく言える立場じゃねぇけど…、サムに悪影響が出るような事だけは絶対させんなよ」
「する訳ないでしょっ」
「キーズ…、もったいねぇなぁ…。パルクールマジで好きでやってたのにねぇ…」
「仕方ないわ。その分、これからアンタが頑張りなさい」
「オレが復帰したって、良く思うヤツなんて、いねぇんじゃね…？」
「そんなことないよっ！自身持ってよ、フロイド君っ！」
「ありがとね、A」
フロイドは選手としての復帰が叶わない間、練習を続けながらサムの面倒もみた。
その効果もあってか、大会ではサムが初出場にも関わらず、10位入賞を果たした。
大会数日後。
「初出場で10位ねぇ。これからもっと上に行ける予感〜っ」
「ありがとうございます！フロイドさんっ」
練習のインターバル中、フロイドはサムと今回の大会の話をしていた。
「フロイドさん」
声がする方を振り返った。
「キーズ…」
キーズがスーツを来て歩いて来た。
「メグさんが呼んでます」
「うん…。え？それを言いに来ただけ？」
「はい」
「しかも敬語？」
「はい」
「……ふーん…」
「サムさんはこのまま練習を続けるようにと、監督から言われていますので、引き続きインターバル終わったら練習再開してください」
「あ、はい。分かりました」
微妙な空気が流れる。
「じゃ、サム。また後でねぇ〜」
「はいっ」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月15日 10時
