思い出のクッキー 〜2〜 ページ5
『あ、この型抜きね、マジでオンボロ寮から持って来たヤツだからぁ〜』
『ふふふ。フロイドとアズールと僕が学園へ行き、学園長に直談判して、未だに閉鎖されているオンボロ寮を開けてもらってキッチンの引き出しから持ってきたんです。レシピも当時Aさんが作ってくれた時の分量を思い出しながら作ったので、味も懐かしいかと』
『オレと出会って初めて作ってくれたのもこのクッキーだったもんね〜』
「うんっ……」
『皆さんも、是非このクッキーを目を閉じて形当てをしながら食べてみてください。先程フロイドが言った通り、案外、当てるの難しいんですよ』
『それでみんなに言いたかったのはぁ、このクッキーに合う飲み物はカフェオレだよ〜』
『いいえ。紅茶です』
『カフェオレだってぇ〜』
会場から笑いが起こった。
涙がまだ止まらないながらも、Aはふとメグとクリスを見た。
席で2人が肩をさすり合い、泣いていた。
「こんなエピソード知ってた?クリス」
「知らなかったよぉーっ!」
Aは目を閉じてクッキーを1つ取った。
指先で形をなぞる。
「うふふ…。犬…」
Aは目を開けて形を見た。
リスだった。
「またこのクッキーに会えるなんて…。ありがとう…フロイド君」
このエピソードは後に世間にも広がった。
フロイドとAを応援してくれる人がまた更に増えていった。
披露宴は本当に食事メインで、序盤の堅苦しい挨拶を除けば、とても個性的で素敵な披露宴だった。
ゲストたちは可愛くて美味しい料理を堪能し、2人の感動エピソードを知り、学園時代の4人の仲の良さまで伝わってくる特別な披露宴を体験することとなった。
こうして披露宴も無事に終了した。
2人は元の服に着替え、別室へ行き、ゆっくり食事を楽しんだ。
「で?どの写真にするのよ?」
「うるせぇな、酔っ払いっ!今選んでるだろ〜!」
「どっちが酔っ払いだっ。お前の方がよっぽど飲んでるだろっ」
「飲む量じゃねぇっ!オレは何ともねぇんだよっ」
「私にとったら2人とも同じ…」
デザートを食べながらフロイドがマジカメにアップする写真を選んでいた。
メグがスマホを出し、フロイドが選び終わるのを待っていた。
「じゃぁ、コレと、コレと、コレ…」
写真は全部で3枚。
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月15日 10時