犯人探し 〜13〜 ページ39
「ふふふ。知っていたくせに」
「ジェイド。聞こえていますよ」
「あの…、闇魔法士のマルコはどうしてこの店に…？」
「当店がお気に入りのようですよ。先程、ご来店頂いたのですが、突然眠ってしまいまして…」
「そうですか…」
これもサムはこれ以上訊くのをやめた。
そしてフロイドを見た。
「フロイドさん…」
「キーズから全部聞いた。これ以上ニコルに罪を重くさせたくないって、この前メグんとこに泣きついてきたってさ…」
サムがメグに打ち明けた翌日の出来事だった。
キーズはニコルのために、自分の選手生命が終わる覚悟でメグに相談したのだ。
「別に誰が誰を好きになろうと関係ないけどさぁ。これが愛情表現っつーのが納得出来ねぇ…。本当に相手の事思ってんならさ、相手が困るような事しちゃダメじゃん。ニコルは結局、自分の為にこんな事しただけだろ…。キーズは本当にニコルを思ってたのに…」
「キーズさんは…こんな事…、望んで無かったって言ってましたよね」
「うん。メグやオレの前でも言ってたし、それが嘘じゃないって、何となく伝わってくんだよねぇ…」
「それに対して、ニコルさんは…最後まで父親の金に頼ろうとしてましたね…」
「ニコルさんは今までも色々な問題を起こしていたようです。その都度父親が金で解決してきた。それが常習化してしまい、今のようなニコルさんが出来上がってしまったのでしょうね」
「アズールさん…。詳しいですね…」
「ええ。それ以上僕に聞くのは危険ですよ」
「は…はい…」
「それも知っててキーズはニコルの相手をしてた。結局、キーズはニコルに裏切られたんだよ…。きっと、今度こそ反省して欲しかったんじゃね…？」
「まぁ、あとは警察に任せておけば、世間の風向きは自然と変わりますよ」
アズールがフロイドの肩を叩いた。
「それにしてもサムさん。あなたの演技力、もう少し何とかならなかったのですか？僕と落ち合う時のあの棒読みのセリフ…。こっちがヒヤヒヤしましたよ…」
「すみません…。突然メグさんに言われたもので…、練習する暇もあんまりなくて…」
「はぁ…。ま、ニコルさんに気付かれなかったから良かったですが、今後はもう少し自然に対応出来るように努力してくださいね」
「はい…。って言うか、今後もあるんですか？」
「メグさんと僕が繋がっている限り、無いとは言い切れないでしょう？」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月15日 10時
