犯人探し 〜11〜 ページ37
「ジェイド。こちら、警察の方です。ニコルさんが真実をお話し出来る準備が整いそうでしたので早めに呼んでおきました」
「それは助かります。彼が真実を話す気になっているうちに、お願いします」
「念の為、動画も取っておきましょうかねぇ」
「ふふふ。それは良い提案です」
「それで、リーチさんのドーピング不正に関わる真実を話すと言っているのは、この、彼ですか?」
「ええ。ニコルさんと仰る、フロイドと同じチームの選手です。彼が是非、警察の方にお話しをしたいと仰るもので」
「どう見ても、ぐったりしていますが…」
「大丈夫です。話しかければきちんとお答えしてくれるはずです。ニコルさん。警察の方がお見えです。警察の方に、真実をお話しして下さいますね?」
するとニコルは顔をあげた。
その目は濁っているようにみえた。
「はい。俺は…真実を…全て…お話しします」
「そうですか…。では、さっそく…」
ニコルは警察の質問に対し、素直にどんどん答えていった。
「ジェイドさん…。今のニコルさんって…」
サムがジェイドに近付き小声で訊ねた。
「彼の、本当の姿ですよ」
「そうですか…」
サムはこれ以上訊くのをやめた。
すぐ側にはフロイドもいる。
じっとニコルを見つめ、難しい顔をしていた。
「それで、その不正を依頼した魔法士の名前と所在ですが…」
「はい。名前はマルコと言う男の魔法士でした。名前が本名かどうかは分かりません。でも、裏の世界ではマルコの名前を知らない人はいない程有名な闇魔法士だそうです」
「マルコ…。所在は分かりますか?」
「いいえ。分かりません」
「ふふ…。ビンゴ…」
アズールがニッと笑った。
「ふふふ。今夜はクリスにたっぷり美味しいお茶をご馳走しなければ」
ニコニコしながらジェイドが部屋から出て行った。
「ジェイドさんっ?」
「サムさんはここでお待ち下さいね。僕は少々野暮用が出来ましたので。すぐに戻ります」
そう言って、ジェイドは笑顔でドア閉めた。
フロイドはジェイドの行動を気にもせず、ひたすらニコルの話を聞き入っていた。
「全てはその…、えっと…キーズさんの為にやったと?」
「はい。キーズがまたトップ選手として、有名になってキラキラしている姿を見たかったから…」
やはり理由は変わらない。
「もしこの行為が警察に見つかり、あなたが捕まると言う不安は無かったのですか?」
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月15日 10時