犯人探し 〜10〜 ページ36
「ちなみに僕はすり替え魔法、出来ません…」
「サム…、魔法使えたの？」
「はい…。別に隠していた訳じゃないですよ」
「おや？お二人の服装…」
ジェイドがサムとニコルを見た。
「えっ！」
「入れ替わってる…」
「僕は先程の水と紅茶のすり替え魔法しかしていませんが…。おかしいですねぇ…。この個室には僕たち3人しかいないのですが…」
「っ！」
ニコルが突然スマホを取り出した。
咄嗟にジェイドが腕を握る。
「ニコルさん。どこへ連絡を？」
「おっ…お前にはっ……か…関係ないっ…」
ニコルは声も手も震えていた。
「申し訳ありませんが…、生憎、この個室は電波が入りにくい場所でして…」
「そっそんなはず…ないだろっ…」
「試しにおかけになったらどうです？」
「……っ…。やっぱり…やめとく…」
「ニコルさん。どうしました…？物凄く動揺しているようですが…。何か不安ごとでもあるのでしょうか？もしよろしければ、出来損ないの弟の償いとして、僕が相談に乗りますよ？」
「べべ別にっ…、不安なんかっ…」
「おや。ニコルさん。まずは落ち着きましょう。そうだ。僕の目を見ると、落ち着く効果があるのです。ニコルさん…、片目だけしかありませんが、怖がらず、ゆっくりと僕の目を見て頂けませんか？それはもう…リラックス出来ますよ」
動揺し過ぎているニコルが思わずジェイドの左目を見た。
「ショック・ザ・ハート……」
次の瞬間、ニコルはガクンと膝から崩れ落ちた。
「おやおや。立っているのも出来ない程の動揺ですか…」
「ジェイドさん…」
あ然としてサムがジェイドを見た。
「驚かせてしまって申し訳ありません。こう言う人を落とすのは少々骨が折れる作業でして」
ジェイドは崩れ落ちたニコルを椅子に座らせた。
「ニコルさんに何を…」
「別に取って食ったりなんてしませんよ。ただ、自分でしでかした事は、自分で責任を取って貰わなくては。もう良いですよ」
ジェイドがドアに向かって声を掛けた。
「何とか掛かってくれましたねぇ」
「アズールさん…。えっ！フロイドさんっ！」
ドアが開くとアズールとフロイドが立っていた。
フロイドは悲しげな顔をしてニコルを見つめた。
「サム…。ありがとね…。サムのお陰でオレの無実、証明出来そうだよ…」
その顔は浮かない。
「そ…そんな…」
「どうぞお入りください」
更にアズールがドアの外に声を掛けた。
「失礼します」
２人の男性が入って来た。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月15日 10時
