犯人探し 〜4〜 ページ30
「お昼は食べたの?」
「はい…。メグさんは…?」
「私は良いから。選手が食べてなかったら私が殺されるわ」
「なんか…すみません…」
「で。どんな話?」
「あの…。単刀直入に聞きますっ。…キーズさんとニコルさんが恋人関係なのは知ってますか?」
「キーズとニコルが…?…いえ…。初耳…」
「ですよね…。普段仲は良いけど、そんな風には見えませんもんね…」
「ってことは、サムは何が決定的な物を見たって事?」
「はい…」
サムは半月前に更衣室で見たことをメグに正直に話した。
「なるほどね…。驚いたわ…。まぁ、別に同性同士で恋をするのは本人たちの自由だから良いけど…、あの2人がねぇ…。でも、突然こんな事私に聞かせて何になるの?」
「実はこれだけじゃないんです」
「え?」
「あの…、メグさんは僕が少しだけ魔法が使えるのは知ってますよね?」
「ええ。フロイド程ではないけど使えるんでしょ?」
「ズバリ言いますね…。……それで、最近、あの2人が急にギクシャクし始めたので、少し気になったんです。あの2人はいつも更衣室を最後に出ます。僕はいつも片付けてから着替えるので本当に最後なのは僕なんですけど…」
「それとあなたの魔法がどんな関係がある訳?」
「すみませんっ…!盗聴魔法…使っちゃいましたっ」
「盗聴魔法?何それ?私、魔法は全く知らないのよ」
「あの…予め更衣室に自分の魔力をほんの少し置いておくんです。その魔力を通していつでもその周辺にいる人の声を拾うことが出来る魔法で…」
「何となく分かるわ。盗聴器の魔法版みたいな物ね?」
「はい…。それで、そこでとんでもない話を2人がしているのを聞いちゃって…。フロイドさんのドーピングの件に大きく絡んでる内容だったので、メグさんに伝えなくちゃって思って…」
「ここで話せる?まさか、その盗聴魔法が仕込まれてるとかない?」
サムが片手を大きく振った。
「大丈夫そうです。他の盗聴魔法はなさそうです」
「今の一振りで分かるものなのね…。まぁ大丈夫なら良いわ。続けて」
今から一週間程前。
練習場の更衣室。
「最近サム帰るの早くない?」
「片付けるのが早くなったんですかねぇ…?」
サムは急いで着替えてキーズとニコルより先に帰る準備をしていた。
盗聴魔法を仕掛けて2日が経っていた。
どちらの日も、特に2人の会話は無かった。
「お先に失礼しますっ」
「ああ」
「はーい。お疲れ様ーっ」
サムは更衣室を急ぎ足で出た。
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月15日 10時