苦悩 〜7〜 ページ21
皆で夕食を取り、部屋へ戻る。
「食事中、去年戦った選手の名前が何度も監督から出てたけど、フロイド君の最初の対戦相手なの?」
「あぁ、ミリアか。うん。アイツが初戦勝ち抜けばね。たぶん勝ち抜いてくるけど」
「そっか…。じゃあ、フロイド君の初戦相手は?全然話に出て来てなかったよね?」
「キーズ。同じチームのヤツ」
フロイドがAをベッドに寝かせる。
そしてブラウスのボタンを外し始めた。
「あぁ…。キーズさん…。フロイド君がチームに入る前はキーズさんがトップ選手だったってメグさんから聞いたけど…。なんか、運が悪いね…。どうせなら、決勝で戦いたかったね」
「アイツが決勝まで残れる事はねぇよ。予選通過だって最下位で、タイムも1位のヤツと2秒以上も差があるんだよ」
フロイドがブラジャーの肩紐を肩から外す。
そしてAの大きな柔らかい胸に顔を埋める。
「柔らかい…」
「うん」
「いい匂い…」
「うん」
「抱いて良い?」
「ダメ〜っ」
「ケチぃ〜っ」
「帰れぇ〜っ」
「イヤだぁ〜っ」
翌日。
トーナメント戦が始まる。
フロイドたちは去年と同じ控室にいた。
隣の控室にはキーズがいる。
「フロイドっ。キーズだからって、気を抜くんじゃないぞ」
キーズの控室から戻って来た監督とトレーナーがフロイドに声を掛ける。
「そんなことしねぇよ」
「キーズはお前に本気で勝とうと気合いを入れている」
「ふーん…」
フロイドがAの所へ無表情でやって来る。
そして抱きしめる。
「いい匂い…」
「うん」
フロイドが一度深呼吸した。
「じゃ、行ってくるね」
「あ…うん…。頑張ってね…」
「うん」
フロイドはすぐにAから離れ、コースへ繋がる通路へ消えて行った。
「最短記録…」
「余裕な相手だからって、あれは無いわよね…」
Aとメグは通路を見つめた。
会場はフロイドと同じチームが対戦相手で、しかもそこそこ有名な選手な事もあり、盛り上がっていた。
「キーズもそれなりに強い選手なのよ。でも、フロイドが入った頃から他の国でも強い選手が目立ち始めた。あのオーリス選手がそうよ。彼もあっという間にトップアスリートの仲間入り」
「上には上がいるって事ですか…」
「フロイドの上は見たこと無いけどね」
「はぁ…」
Aとメグは観客席でフロイドとキーズを見守る。
2人が紹介され、スタート位置に向かう。
会場も静かになる。
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月15日 10時