苦悩 〜5〜 ページ19
フロイドだけは選手たちと乗る車が違う。それだけ実力の差があり、人気もある証拠だ。
エントランスで車から降り、ファンたちに笑顔で手を振る。
Aもフロイドの隣で黙ったまま笑顔で会釈をする。
これがファン曰く「リーチ夫妻スタイル」。
フロイドはいつも必ずAと手を繋いで行動する。
それでもファンには笑顔で手を振ってくれる。
Aは控えめに笑顔で会釈を繰り返す。
この2人の姿勢がファンから好評を得ていた。
メグの策略が当たったのだ。
ホテル内は去年と同じだった。
フロイドとAは隣同士に部屋が用意されていた。
「一部屋でいーのに」
「フロイド君が最高のコンディションになってもらえるように考えて用意してるんだから、文句言わないでよ…」
「オレはAと一緒の部屋の方が最高のコンディションになるんだよ？」
部屋の前に着き、フロイドが勝手にAの部屋の鍵を開けて中へ入る。
「寝る時はフロイド君の部屋に戻ってね」
「えーっ。ここで寝るー。ベッドもデカいしぃ」
「メグさんが見回りに来たらバレちゃうよ？」
「見回りなんて来ねぇよ」
フロイドがAを抱き上げてベッドに寝かせる。
「いい匂いタイムしかしないから大丈夫…」
「うん。それ以上したら、私大声出してメグさん呼ぶね」
「オレが変態みたいじゃん…」
「うふふ…。フロイド君のためだよ」
「大会終わるまでは…、ちゃんと我慢するから…」
「うん。いつも我慢出来てるもんね」
「大会終わったら解禁〜っ」
「いつもじゃんっ」
「オレが頑張ったオレへのご褒美なのぉ〜っ」
「うん。知ってる」
Aはフロイドの頭を優しく撫でた。
「大会…頑張ってね…」
「うん…」
現地での練習をして、本番に向けて最高のコンディションを作り上げていく。
ここでもフロイドだけは別格扱いの練習をする。
他の選手がフロイドのメニューをこなせないだけなのだが。
今年は去年より参加人数が増え、100人を超えていた。
その為、一日かけて予選を行い、翌日にトーナメント戦が行われる。
フロイドは予選はパスされている。
キーズとニコルたちは予選からのスタートだ。
予選はとにかくタイムを競う。
タイムが速い上位15人がトーナメント戦に進むことが出来る。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月15日 10時
