苦悩 〜3〜 ページ17
「チームとは言え、個人種目だ。結局のところライバルになってしまうんだよ。しかも三連覇となれば…、フロイドを一番に考えなくてはいけなくなるだろう?」
「まぁ、そうですよね…。フロイドだって初めはみんなと同じ練習でしたからね。それを余裕でこなしてしまい、監督が更に上のメニューを与えた…。それも更にこなし、その繰り返しで、今のフロイドが生まれた…」
「どうしても、実力の世界になってしまうんだよ。今は余計な事はなるべく考えるな。フロイドを優勝させる事だけを考えろ」
「分かりました」
「他の選手にもメニューは与えている。今回の大会で予選通過出来る奴がいてくれれば、更に有難いんだがな」
「去年は全滅でしたからね〜」
「ウチもそれなりに強い選手がいるはずなんだが…」
「士気が下がって…?」
「馬鹿を言うなっ。フロイドの存在が他の奴にとって良い刺激になってくれれば、自然と結果はついて来る」
「って事は、良い刺激になってない、って事ですよねぇ〜」
「ふんっ。お前はいちいち余計な口を挟んでくるなぁ…」
「監督をリラックスさせてあげようとしてるんですっ」
「トレーナーから心配される監督か…。まぁ、悪くないな」
監督はトレーナーを見て笑った。
「ただいまぁ〜っ」
「お帰りなさいっ!フロイド君っ」
「ギュ〜っ。このままベッド〜」
「ダメだよっ!ご飯まだでしょ!ちゃんとチームの栄養士さんが考えてくれたメニュー食べないと!」
「え〜。オレはAの考えたメニューが良い〜っ」
フロイドは玄関でいい匂いタイムを始めた。
「勝手に変えることは出来ないの!」
「ふーん…。A偉いねぇ。自分と同じ栄養士が考えたメニューを作らせれてるんだぜ?」
「作らされてる…、なんて思ってない。チームの栄養士さんはプロだよ?私はフロイド君の何かの役に立てればって思ってスポーツ栄養士も取っただけで…。それに、勉強にもなるしね」
「すげぇ向上心…」
Aがフロイドからそっと抜け出す。
そしてキッチンへ向かう。
「手洗いうがい忘れないでね。ご飯用意しておくから」
「はーい」
Aがキッチンでスープを温め始めた。
「いい匂い…」
「スープ?」
「なんでだよっ」
フロイドがまた後ろから抱きしめて来た。
「うふふ…。いっぱい嗅ぎたい?」
「うん。動かないでね…」
「スープ吹きこぼれちゃう…」
「じゃ、手だけ動かしていーよ…」
「うん。好きなだけ嗅いでね…」
「うん…」
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月15日 10時